19*風邪 ページ20
ピーンポーン………
少女漫画なら玄関先で迷いに迷うところなのかもしれないけど、来てしまったものは迷ってても仕方ない。
だから私は3秒だけためらったあと、すぐにアパートの玄関のベルを鳴らした。
……もちろん、なんとなくだけど緊張はしていて。
さっき寄ったコンビニで買った、焼きプリンの入ったレジ袋を握りしめる。
『…………は、…ぃ…?』
弱々しい声。
でも、確かに天月くんの。
「え、えと!…あ、天月くん、…その、」
ああしまった、何言うか考えてなかった。風邪大丈夫?なんて変だし、クラスメートなのに看病しにきたとも言えないし、どうしたら、
『…………Aちゃ、……なんで、』
「…………え、あの!…プリン!プリン買ってきた!!好きでしょ?!」
『…………へ……?ん、すき、…いや、うんでも、なんで……』
とりあえず入っていい?!
なんて無茶苦茶なことでごまかして、鍵が開いてることを確認。
がちゃ、とドアを開けると、足元のふらつく天月くんが、壁にもたれるようにして立っていた。
「なん、……で、Aちゃん、」
「え、ちょ、……天月くん?!…わぁっ」
彼はふらりとよろけて、こちらのほうに倒れこんできた。
とっさに支えるけど、男の子の身体をひとつぶん、支えきれるわけがなくて。
一緒に床に倒れこんでしまう。
「あまつきく、…と、とりあえず、寝たほーがいいよ…!ごめんね、寝てたのに、無理させちゃって」
「…………ん……ごめ」
とりあえず半ば引きずるみたいにして、もちろん彼の足でも歩いてもらって、なんとかしてベッドに戻ってもらった。
よく見ると顔は湯気が立ちそうなくらいの赤みを帯びて、息も上がってしまっているようだった。
「………………なんで、A、ちゃんが、…ひとりで、俺の家…なんか、」
「し、心配だった、から」
「………じゃなく、て!…なんで、ひとりで、男子の、1人暮らしのやつ、の、家なんか、上がって、ん、…」
だんだん息がさらに上がってきて、苦しそうな顔をした天月くん。
その意図はいまいちわからなくて、首を傾げていると、
彼が私の服をそっと引っ張る。
急なことで、身体が彼の方に傾いた瞬間、
「俺、じゃ、……なかったら、…今ごろ、Aちゃ、…のこと、…襲ってる、よ」
耳元で囁かれたのは、とんでもない言葉で。
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イリカ(プロフ) - わ!楽しみにしてます!これからも頑張ってください!! (2018年6月3日 15時) (レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» そんなことないですよー!今はまだちょっと言えないんですが、本編の終わった直後にそのアイディアがちょうど入れられそうな番外編の構想があるので、楽しみにしていただけたらと思います…!多分月に憧れての方に入るので…! (2018年6月3日 6時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
イリカ(プロフ) - いえいえ、無理なお願いをしてしまい、本当に申し訳ないです。すみません!これからも楽しく拝読させていただきます!! (2018年6月2日 23時) (レス) id: 795815d954 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» 本編に入れることは叶わなそうなので、それは申し訳ないです!> < (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - イリカさん» ありがとうございます…!リクエストすっっっごく嬉しいです!!実はお話の展開が最後まで固まってしまったところなので、最終回の後に更新する番外編で、そのアイディアでお話書かせてもらってもいいでしょうか…?!私もぜひぜひ書かせてほしいです、、! (2018年6月2日 14時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
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