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桃ちゃんとふたりで

玉入れ本気出そうね

なんて言ってると

さっきまでリレーの走順決めてたはずの田中くんが近づいてきた

樹「ね、Aちゃん

徒競走出ないの？」

『え？出ないよ？』

と言えば、なんでー！走るの速いのに？と

キラキラした目で見つめてくる

そんな顔したって出ないよ

千夏の方を見れば

千夏「だから言ったでしょ

Aは出ないよって」

と呆れ顔で田中くんを連れて戻った

その後無事に他の子に決まったみたい

他の競技の枠も埋まって

順番やら諸々も時間内に決まった

後から聞いた話によると

女子の徒競走が1人だけ決まんなくて

女子で足速いの誰ってなって

去年同じクラスだった子達は

Aは速いけど出ないだろうなってなったみたいなんだけど

田中くんが、聞いてくる！って私の所に来たらしい

３時間目以降

田中くんは私と目が合う度に

樹「なんで徒競走出ないの？」

って、私が徒競走に出たがらない理由を聞いてくる

最初のうちは

『出たくないから』

とか

『走るの嫌いだから』

とか、適当に返してたけど

なんで？

としつこく聞き返してくるものだから

『大人数に必死に走ってるとこ見られるの恥ずかしいじゃん』

と答えた

田中くんもリレーに出るわけだし、

必死になってる人をバカにしてるように感じて

あんまり言いたくなかったんだけどね

もちろんそんなつもりは微塵もない

樹「それがいいのに～」

と田中くんは言うけど、

私にはその良さがわかんないの

樹「せっかく最後の体育祭なのに玉入れだけとかつまんなくない？」

最後だから楽な競技しか出ないんじゃん

『玉入れが1番楽しいからいいもん

玉入れしか勝たん』

樹「なにそれｗｗｗｗ」

と笑い始める田中くん

『はい、もうこの話は終わり！』

と言って、無理やり終わらせた

それから田中くんが体育祭の話をすることはなくて

やっと開放された気分

なんで？なんで？って

3歳児かな田中くんは