Twitterに上げたSSまとめ2 ページ49
｢おいしいココアの作り方｣
スーパーでひとつ、ココアを買った。
別に大した理由はない。
昨日今年初めての雪が降ったからだとか。
30%増量でお得、なんて書かれたパッケージが目に止まったからだとか。
友人になぜか押し付けられたマシュマロが余っていたからだとか。
そういうことは、特段関係はなく。
何となく手に取って、鍋の具材が入ったカゴの中に放り投げた。
...変なの、甘いものはそんなに好きじゃないくせに。
ずっしりと重いレジ袋を右手に提げながら帰路を歩く。
エコバッグを持っていかなかったのは失敗だったかもしれない。
ほう、と息を吐いてみれば、やはりそれは白く染まって、冬らしい灰色の空に吸い込まれていった。
去年買ったマグカップにココアの粉を入れていく。
スプーンで3杯、たっぷりといれてレンジで温めたお湯をカップに少し入れて混ぜる。
ある程度溶けきったら牛乳を入れて、オマケで無駄に冷蔵庫で冷やされていたマシュマロを3つ。
｢これくらいが1番おいしい｣のだと、聞き慣れた声がどこかから聞こえた気がした。
おかしな話だ。どこにもそんな奴いないのに。
はは、と小さく自嘲が漏れた。
そのことにちょっぴり自分で驚いて、気づけば無駄に混ぜていたスプーンがカップに当たってカチャリと音を立てた。
レンジにカップを入れる。
設定温度は60℃
これくらいじゃないと飲めないからと、猫舌の彼奴が言っていた。
ﾋﾟｰﾋﾟｰと、30秒程度で機械音が鳴り響いて、暖かいココアの完成。
オマケで入れたマシュマロはそこそこ原型が残っているけれど、まぁ良しとしよう。
また無駄にカラカラとスプーンで掻き混ぜてから、ひと口、ココアを口に含む。
最後に飲んだのはいつだったか。
じんわりと甘さが口の中に広がっていく。
おかしいな、ココアはそんなに嫌いじゃなかった筈だけど。
｢あま...｣
...こんなにも、美味しくないものだっけ。
□
｢好きになったのは友達でした。｣
nk→kn
好きになったのは友達でした。
俺よりもいくらか背が高い友人でした。
海色の瞳が綺麗な、優しいひとでした。
sh→br
好きになったのは友達でした。
俺と同じくらいにゲームの上手い友人でした。
まるで猫みたいな彼の、その瑠璃色が好きだった。
sm→kr
好きになったのは友達でした。
俺をよく馬鹿にしてくる、少し意地の悪い友人でした。
太陽みたいなその瞳が、ずっとずっときらいだった。
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作者名：ローゼ | 作成日時：2021年8月12日 19時
