▽ ページ39
いたた、なんて笑い混じりの声が聞こえる。
浴衣と温泉。旅行に来たならば1度は味わっておきたい楽しみのひとつ。
浴衣は確かスタッフさんに言えば無料で貸し出して貰えた筈だし、温泉もそろそろ入れる時間帯だ。
滅多に見れない装いと、古典的ではあるが裸というのは恋愛を進める上でかなりいいスパイスだろう。
出来れば今日の夜辺りにさっさと告白してしまって欲しい。
そんな思いを込めながら隣に座るスマイルを見やると、彼はちびちびと日本酒の入った猪口に口をつけながら、独り言のように口を開いた。
sm｢...そっか、浴衣とかあるのか。｣
kr｢...着る？｣
sm｢！......そう、だな。せっかくだし。｣
kr｢ふぅん...じゃあ俺も着ようかな。｣
何気ない会話のようでいて、密かな甘さの漂う言葉。
｢着る？｣なんて問うきりやんの声色は、隠しきれない期待が篭っていた。
スマイルの頬が少しだけ紅いのは、きっと酒のせいだけではないだろう。
順調に計画は進んでいる。特に何もしていないような気もするけれど、きっかけを与えただけでも十分な仕事と言えるだろう。
元々少しでも背中を押せば縮まる距離に居たのだ。きっかけひとつあれば、きっと変わる。
kn｢じゃ、せっかくだし行くかぁ〜｣
｢浴衣貸して貰えるように言っとかないと。｣
kr｢風呂上がりに着るか。｣
sm｢broooockとシャークんは？｣
br｢後で人が少ない時間帯に行くよ。｣
kn｢......あー...了解。｣
sh｢......｣
br｢いて、ごめんってぇ〜｣
何か人が多いとだめな理由があるのであろう＿＿具体的には昨日か一昨日の夜くらいにナニかがあったのであろう2人は置いておいて、4人で大浴場に向かう。
源泉かけ流し、様々な効能があるとかでかなり有名な温泉なだけに期待が上がる。
空いたばかりと言うのもあってそこまで人は多くない。
どうやら露天風呂もあるようで、身体を流した後少しだけ肌寒い外へと向かった。
｢うわ...めちゃくちゃいいなこれ...｣
kn｢星がめちゃくちゃ見える...天気よくてよかったなマジで。｣
kr｢月も綺麗だよ。な、スマイル。｣
sm｢...そうだな。｣
少し高めの温度のお湯に、美しい星空。
色付くにはまだ早い紅葉が周りを飾る。
星の美しさを口に出せば、きりやんが流れるように告白とも取れる言葉を口に出す。
話の流れと俺達もいるからか、スマイルがそれについて言及することはなかったけれど、中々にいい雰囲気なのでは？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ローゼ | 作成日時：2021年8月12日 19時
