白尾さん達の恋模様8【BL】 (ページ33)

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恋の病 sm→br ページ33

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※奇病パロ

君を想う恋心は心臓に。

君を想って零した涙は宝石に。

誰に伝えるでもなく、ふと紡いだ愛の言葉は花になった。

呪われている。
してはいけない恋だった。
＿＿...こんな恋、だれも赦してくれない。

いっそのこと、忘れられたらとさえ思う。
そうすればきっと、こんなに苦しくなることもないのに、と。
名だたる恋の病のひとつ、恋を忘れる病にでもかかってしまえば、と。
けれど俺からこぼれるのは、きらりと光る宝石と、散ってしまった花びらばかりだ。
ぎりり。重たくなった心臓が音を立てる。
...これが止まってくれるのは、一体いつになるのだろう。

恋をしていた。
至って純粋な恋を。
けれど｢かみさま｣はそれを赦してはくれなかったらしい。

ほろり、ぽろり。
想いの丈を口に出す度、赤い花がカーペットを汚していく。
咳き込んで噎せて、目の前が滲んで。
少しの痛みと一緒に、赤い宝石が落ちていく。

コロリ。ポタリ。
いつの間にかカーペットの染みを見ることは無くなっていた。
家の中で雨が降ることは無くなって、水も花瓶も無いのに花ばかりが咲くようになってしまった。

キリリ。ピキリ。
心臓が嫌な音を立てる。
深く根を張った恋心が、早く出してと訴える。
その痛みにまた涙が滲んで、宝石が落ちて。
苦しみに噎せて、花が散る。

無理だ。無理だよ。
伝えられる訳ない。
許される訳もない。
だから実際に、こんなにも呪われているのに。
｢恋の病｣なんて、聞くだけ美しいけれど、実際は辛いことばかりだ。

｢っ...は＿＿＿＿ぁ、っ、す、｣

｢好きだ｣と。
声にも出せなくなったのはいつだろう。
それを零そうとする度、赤い花が舞うようになったのは。

｢は...ッ、ぶる、っ＿＿＿＿ｹﾞﾎｯ、ｴﾎｯ、ッ｣

｢broooock｣と。
その名前を呼べなくなったのはいつだろう。
あの人の名前を。
...好きな人の名前を呼べなくなったのは、いつだっただろう。
口にしようとする度に、這い上がるような嗚咽感が湧くようになってしまったのは。
彼を想う度胸が軋んで、口に出すこともできなくなったのは、一体。
ゴミ箱が赤で埋め尽くされるようになったのは、一体。