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なんて複雑な人間関係。
こうなる前に友達だった時間もあったのに。
恋人でなかった時間も沢山あったのに。
ひとつ壁を越えて、ひとつ戻ってみれば更地になるなんて。
友達に戻りたいと思ってはいなかった。
ただ別れたかった。
恋人じゃなくなって、お前から離れたかった。
そうだ。別にいいじゃないか。
それならなおさら、離れ離れになって、他人に戻ってしまえば。
そうだ。そうだよ。
惜しいなんて思う必要は、どこにも無いんだ。
「あ〜、ねむ。もう帰っていいよね。」
ふわり。大きな欠伸の声。
欠伸のせいだろう。少しばかりうるんだ瞳が美しくて嫌になる。
玄関へと彼が歩いていく。
「幸せになってね。...俺以外の誰かと。」
扉が閉まる直前、ひとつ、彼が零した。
バタンと、大きな音がする。
扉の向こう側の足音が去っていく。
誰もいなくなった煙草臭い部屋で、呼吸の音だけが静かに響いた。
「眠いなら...っ、一生寝てろ...」
煙草の甘い匂いがする。
煙草は嫌いだったけど、この匂いは嫌いではなかったな、なんて思い出した。
「っ......ばか、やろ...」
お前以外の誰かとだったなら、幸せになるのなんて簡単だったよ。
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コトコトさん、リクエストありがとうございました!
リクエストを貰って聴いてみたときめちゃくちゃ書くの難しそうだなって思ったんですけど、意外と書きやすかったです。
リクエストにはnkさんのお相手はkrさんまたはknさんとあったんですが、歌詞にオレンジが入ってたのでkrさんにしました。
別れて欲しいとは言いつつもまだまだ未練タラタラなnkさんと、多分きっとちゃんと好きではあったkrさんで書いてみました。
好きなら裏切るなよとは思いますが、それにはきっとkrさんなりの理由があったんでしょう。知らんけど。
途中までkrさんをガチのクズにするか迷ってたんですが、最後の方の「どうか末永くお幸せに」っていう歌詞の消化に困ったのでそんな感じに決定しました。
わりと上手く書けたのではと思います。
ご期待に添えたかは分かりませんが、楽しんで頂けたら幸いです!!
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作者名:ローゼ | 作成日時:2021年8月12日 19時