Twitterに上げたSSまとめ ページ47
｢眺めているだけで幸せだとか、映画の中だけの話｣
｢愛しているよ｣は言えないけれど、それでも君が好きだった。
1度だってそんな台詞、吐けたことなどないけれど。
それでも、君のことが好きだった。
愛してた。好きだった。本当に。
声に出せたことなど一度もなかったけれど。
想いを告げられたことなんて一度だってなかったけれど。
そんな勇気、持ち合わせてなどいなかったけれど。
それでも、君をあいしてた。
誰かの隣で幸せそうに笑う、君のことが好きだった。
＿＿＿そりゃ、言えるわけ無いだろう？
□
｢ただどこか、自分が醜く感じてしまって、｣
苦しくなりたい訳じゃなかった。
泣きたい訳じゃなかった。
困らせるつもりだってもちろんなかった。
ただ、誰かに赦されたいだけだった。
ただ貴方を好きになりたかった。
ただ、普通に恋をしたかった。
自分で自分の首を絞めるような恋なんか、望んでもいなかったのに。
...ただ君の瞳が、あまりに綺麗すぎたから、
□
br→？
僕はいつも自分の冷蔵庫の中身に期待しすぎてしまうようだ。
いつもなら当然のように材料の揃っていた冷蔵庫を見てひとつため息を吐く。
後悔先に立たず、とはよく言ったもので、失ってから大切な物に気づくというのも案外間違いではないらしい。
いつもなら、当然のように帰ってきたら君がいて。
いつもなら、当然のように｢おかえり｣が聞こえたはずなのに。
今日はどうやら、｢ただいま｣の声しか聞こえないようで。
でもいけない。
悲しくなっちゃいけない。
これを選んだのは僕なのだから。
慣れなきゃいけない。
大丈夫、上手くできる。
だってほら、実際に。
君がいなくても、息はできるんだし。
□
｢泥中に咲く｣
花を吐く。花を吐く。
嗚咽と一緒に、花を吐く。
叶わない恋だった。
行き過ぎた恋だった。
どこまで行ったって一方通行な、泥にまみれた恋心だ。
美しい花たちが、口からぽろぽろと零れ落ちては崩れていく。
こんなにも醜い泥まみれの恋から、こんなにも綺麗な花が咲くのか。
なんてぼんやりと、カーペットを彩る花々を見ながら思う。想う。
好きだった。
叶わない恋だった。
君が知ったらどう思うかな。
伝えられない恋だった。
くだらない恋だった。
なんの価値もない、独りよがりの恋だった。
｢けほ、｣
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作者名：ローゼ | 作成日時：2020年8月8日 18時
