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「...そうだな。でもお前は、そうじゃないんだろ。」
「......好きだったよ。」
ほらそうやって、曖昧に濁して。
肯定すれば俺が傷つくのを分かって言葉を選んだくせに、それが結局俺を1番傷つけることに気づいてない。
そういうところが嫌いだ。でも好きだった。
俺の「好きだった」と、お前の「好きだった」は意味が違う。
酷い話だ。本当にひどい。
やさしさだって毒になることを、お前はきっと分かってない。
「...俺は、」
「ごめんね、シャークん。」
「......っ、はは、」
言う前に遮るな。
これ以上傷つけたくないと思うなら、いっそ1回で深い所まで傷をつけてくれれば、こんなに痛くならなかったのに。
酷い奴。ひどいひと。
大好きだよ、馬鹿野郎。
「っ......せめて、いわせろよ...」
涙が滲む。情けない。
泣くつもりなんてなかったのに。
別れたくないと駄々をこねる面倒な彼女みたいじゃないか。
もうとっくに別れているくせに、変な話だ。
彼の手が頬に触れる。
その暖かさを覚えていた。
何度も触れた、触れられた温度だ。
もう手に入らないそれが、酷く恋しい。
零れ落ちた雫が、彼の親指を伝って流れていく。
涙を拭うその指が、酷く。酷く、優しくて。
希望を持たせまいとするくせにやさしいチグハグな態度に、つきり。胸が、また。
「っ...ひどいやつ...」
「...ごめんね。」
「...っ、ふ......っ...おれ、も、」
あぁ、言うつもりじゃなかった、こんな言葉。
言う筈じゃなかったよ、こんな言葉。
すぐにバレる嘘なんて、つきたくなかった。
「___...すきだったよ、」
内でも外でも、雨は止まない。
あと少し、この温度に触れられますようにと、ただ。
__未練たらたらの恋心で、願うだけ。
あぁなんて、くだらない恋の話。
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めちゃくちゃ王道な悲恋ストーリーだけどでもかなり好みなのが書けたかもしれない...
多分brさんは元々ノンケでshさんは同性愛者だった。
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作者名:ローゼ | 作成日時:2020年8月8日 18時