▽ ページ25
｢...きん、とき...？｣
｢よかった......何、しようとしてたの。｣
｢そ、れは...｣
｢...まぁ、言わなくても分かるけどさ。｣
そう言って、彼はちらりとテーブルの上の睡眠薬とコーヒーの入ったマグカップを見やった。
｢だ、って、｣
｢何？｣
｢お前がいないなら...灰色、だったから。｣
｢...そっか。｣
｢あの青を知ったら、それが無いと...苦し、かったんだよ...｣
うん、と。
優しい声が降ってくる。
あぁ、聴きたかった。
ずっとずっと、聴きたかった。
｢お前が、俺を好きなのは知ってる。｣
｢うん。｣
｢でも、怖、かった...｣
｢うん、そっかぁ。｣
情緒を知る前の子供みたいに、嗚咽を漏らしながら涙を流す。
止め方を忘れてしまった涙は、拭っても拭っても溢れて、あふれて。
目元を拭ってくれた彼の服の袖が、じんわりと色を変えた。
｢でも、だからって、俺を置いていこうとしないでよ。｣
｢っ...ごめ、なさぃ...｣
｢お前に会いたくて頑張ってきたのに、帰ってきたらお前がいないなんて、無理だよ。｣
｢...ぅ、ん...っ、｣
泣かないで、と彼が言う。
それでも、まだ涙は止まりそうになかった。
ちぅ、と頬にキスがふる。
久方ぶりの温かさに、涙がまた。
｢...ただいま、なかむ。｣
｢っおか、えり...きんとき...！｣
愛してやまない青色は、滲んだ視界でも美しかった。
□
おまけ
nk｢そういやきんとき、あと半年って言ってたのに何で帰ってこれたの？｣
kn｢あー...いや、本当は今日帰れたんだよ。｣
nk｢えっ｣
kn｢お前を驚かそうと思って嘘ついたんだけど...帰ってきたらなんかやばい事になってたから。｣
nk｢そうと知ってればあんな事しなかったのに！！｣
kn｢それはごめんって！｣
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ライクさん、リクエストありがとうございした！！
オチが迷子になってしまった...
こんな感じで良かったでしょうか？
あまり闇感ないですね...作者がリクエストを見た時にふと思いついたフレーズを入れたが故に少し難しい感じになってしまった...申し訳ない...
｢もういいや｣ってなるまでの過程が弱いなぁと思ったんですが、どうにも直せなかったのでこんな感じに...
大反省会を開いてしまった。悪い癖ですね。
ご期待に添えたかは分かりませんが、楽しんでいただけたら幸いです！！
※睡眠薬とカフェインの同時摂取は本当に危ないので決してしないようにしてください
nkさんは愛の力で意識を取り戻してます(ご都合)
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作者名：ローゼ | 作成日時：2020年8月8日 18時
