白尾さん達の恋模様5【BL】 (ページ6)

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いっその事、誘発されてしまおうか。
それで過ちでもおかして、君の頭の中も僕で埋めてしまえば。
そうすればお揃いなのにな、なんて、授業を聞き流しながらぼんやりと考える。

君の甘い甘い香りを嗅いで、君のことだけで頭が埋め尽くされるなら。
君が僕と同じように、僕で頭がいっぱいになるなら、きっとそれは。
...きっと、素敵な事だと思うのに。

ただでさえ僕の頭の中は君でいっぱいなのに、これ以上いっぱいになったらどうなるんだろう。
頭の中だけに留めておけなくなって、パンクでもするだろうか。
口から勝手に想いが溢れ出たりして、君を困らせるだろうか。
......それもいいかな。

「...なぁbroooock。」
「ん、なぁに？」
「......後でここ教えて。この先生分かりにくい...。」
「......いい、よ。」

喉から出かかった言葉を飲み込む。
口から勝手に想いが溢れ出たり、なんて、本当に起こっちゃいけないのに。
でも、君のその可愛らしい表情を見る度に、胸がトクンと音を立てて。
その度に、好きになるから。
思わず「好き」だなんて言いかけて、作り笑いで誤魔化した。

そんな事にも気づかずに、彼は小さな声で楽しそうに話し出す。
暑さで少しだけ染まった頬が色っぽくて、薄い唇が言葉に合わせて動く。
少し息を吸えば、ほのかにフェロモンの甘い香りがして。
甘くて優しいその香りと、可愛らしい君の表情に、また恋に落ちる。
...今日で、何回惚れ直したっけ。

些細な事で恋に落ちて、当たり前の事で見とれてしまう。
...きっと君の唇は、砂糖のように甘いんだろう。
彼を構成する全ては、甘くて、きっと幸せな味がするんだろう。
その甘さに溶けてしまえたら、どれだけ幸せなんだろう。
熱い想いに飲まれて、砂糖のように溶けてしまえたら、どれだけ。
...なんて願ったって、想いを口に出来ないなら、絶対叶わないのに。