聖なる夜の魔法 br⇔sh ページ34
broooockside
｢あ、雪。｣
ちらりちらりと、夜空に雪が舞う。
大した量は降っていないようだから、積もることは無いだろうけれど、なんだかえも言われぬ嬉しさが込み上げてきた。
｢...ほんとだ。｣
｢ホワイトクリスマスだね〜｣
｢そうだな。...っ寒。｣
｢僕のマフラー貸してあげようか？｣
｢いいよ。broooockが寒いだろ。｣
そう言いながら上着に顔を埋めるシャークんは、鼻が紅く染まっている。
...もう、見てるこっちが寒いのに。
｢...わっ、ちょ、broooock...！｣
｢文句は受け付けませ〜ん。僕はいいの。｣
｢むぅ...。｣
寒そうにしているシャークに半ば無理やり僕のマフラーを巻き付ける。
不満気な声が聞こえるけれど、そんなものは無視してしまおう。
｢...なら、こっち。｣
｢.........もう...なんでそんな可愛いの...。｣
おずおずと、左手を差し出される。
いつもなら絶対にしないのに、やっぱりクリスマスだからだろうか。
上目遣いでこちらを見られると、心臓の辺りが苦しくなるからやめて欲しい。
...いや、やっぱやめなくていいや。
｢るさい......手ぇ冷た！やっぱマフラー...！｣
｢シャークんの手が温かいからいらな〜い｣
そう言いながら、逃がさないとばかりにぎゅっと手を握り締める。
外ではやらない恋人繋ぎだけど、せっかくのクリスマスなんだから許してほしい。
すると、隣にいる彼の顔がみるみるうちに紅く染まっていく。
...あぁもう、やめて、可愛すぎるから。
なんてふざけた事を考えていると、やっぱり少し意地悪をしたくなるのが僕の性分と言うもので。
握ったままの手を、上着のポケットのなかに突っ込んだ。
｢っ！！broooock！！｣
｢こっちの方が温かいでしょ？｣
｢そうだけど...！ここ外...。｣
｢せっかくのクリスマスだしさ。許して？｣
そんな話をしながら、夜の街を歩いて行く。
目的地まであと少しと言うところで、シャークんが不思議そうに僕に尋ねた。
｢あれ...broooock、ポッケになんか入れてんの？｣
｢え？...ぁっ...ん〜...もうちょっと待って。｣
｢？分かった...？｣
危ない危ない。
そう言えばこっちのポケットに入れてたんだっけ。
すっかり忘れてた。
幸い、まだ何かは気づいていないようだから、手は握ったまま目的地まで歩く。
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作者名：ローゼ | 作成日時：2019年9月23日 15時
