聖なる日に君と kn⇔nk ページ33
きんときside
「寒いな...。」
ほぅ、と息を吐きながら一言、そんな言葉を漏らす。
予報では最低気温は5℃だそうだ。
寒すぎるにも程がある。
マフラーは付けたし、ダウンジャケットも着込んで一応防寒対策はしているものの、寒いものは寒い。
...そしてそれは、どうやら彼も同じなようで。
「っ、くしゅっ...!」
「大丈夫か?」
「ん...平気。」
「店入る?」
「ん〜...そうしよっか。」
可愛らしいくしゃみをした彼は、寒そうに体を震わせながらそう言った。
ふと、その手が真っ赤に染まっている事に気づいて、何も言わずに手を握ってみる。
「っわ...びっくりした...きんとき手温かいね。」
「だろ?これで暖も取れるし手も繋げるから一石二鳥だな。」
「...できれば人前ではやって欲しくなかったんだけど。」
「大丈夫だって、周りは自分の恋人しか見てないだろ。」
そう言いながら握る手に力を込めると、恥ずかしそうに、でも少し嬉しそうに彼は笑った。
「...あ、なかむ、ちょっとあっちの店寄ってもいい?」
「いいよ。」
「じゃ、ちょっと待ってて。」
「...ん。」
店に入る為に手を離すと、彼はほんの少し寂しそうな顔をした。
...あぁもう、ほんと可愛いやつ。
「ちょっとだから。」
「分かってるって...戻ったら、また手繋いでね。」
「ふっw甘えただなぁ...。」
「うるさい!早く行ってこい!!」
照れ隠しに怒る彼の頭をぽんぽんと撫でて、店に入る。
店員さんに声をかけると、直ぐに目当ての物を持ってきてくれた。
ついでにラッピングもしてもらって、彼の元に戻る。
さっきの場所からずっと見ていたらしい彼は、少し不思議そうに話しかけてきた。
...もちろん、手を繋いだ後で。
「...きんとき、それ何?」
「これはね...はい、なかむ。」
「?」
「メリークリスマス。プレゼント!」
ラッピングされた箱をなかむに渡す。
なかむは嬉しそうに顔を綻ばせながら、「ありがとう!」と笑った。
「開けてみて。絶対似合うよ。」
「うん。...ピアス...?」
「そう。人気商品で、再入荷が今日だったからさ。...なかむのプレゼントは、これがいいなって思って。」
なんだか照れくさくなって頬をかく。
彼は箱からピアスを取り出していそいそとそれを耳に付けた。
「...どう?似合う?」
やがて、ピアスをつけ終えた彼は、笑顔でそう言った。
「うん。めちゃくちゃ似合ってる!」
__その耳には、青色の宝石が光っていた。
ピアス
「いつでも私の存在を感じていて」
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作者名:ローゼ | 作成日時:2019年9月23日 15時