白尾さん達の恋模様5【BL】 (ページ18)

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幸せの方程式 nk→？ページ18

なかむside

はぁ、と1つため息を吐いた。
口から溢れたそれは、白く染まって、灰色の空に溶けて無くなっていく。
今にも泣き出しそうな空を眺めていると、ふと彼の事を思い出して、段々と視界が滲んだ。
制服の袖で乱暴に目を擦って、涙の代わりに、またため息が1つ。
...失恋がこんなにも辛いなら、恋なんて、するんじゃなかった。

「＿＿好き、です。」

意を決して伝えたこの想いも、君の心には到底届かなくて。
君の心を撃ち抜く前に撃ち落とされて、逆にこっちの心にヒビが入った。

｢え...ごめん、ちょっと...無理だわ...w｣

軽蔑するような目で言われた’’それ’’は、俺の心臓を抉るには充分すぎたんだ。
受け入れられる確率が低いのなんて分かっていたのに、いざそう言われると、どうしようもなく痛かった。

妄想に妄想を重ねて。
期待に期待を膨らませて。
その結果がこれだ。
...全く持って笑えない。

積み上げていた幸せの方程式は、どうやら間違いだらけだったみたいで。
振られても最後は笑ってやろうと思ってたのに、口元は引き攣るばかりで、笑顔とも呼べない曖昧な表情が出来上がった。

｢そっ、か...。｣

なんて、ようやく絞り出した弱々しい声は、これ以上ないくらいに震えていた。
ようやく顔を上げて、無理矢理に笑っても、彼の視線は痛いままで。
...強がって笑う俺に、彼は何も言ってくれなかった。

｢ばかだなぁ......俺。何、やってんだろ...。｣

.........それで結局は、仕方ないか、って思うことしか出来なかった訳で。
まぁ、男同士だし。
彼奴が、ただ普通に女の子が好きだったってだけで。
あまり認められてない感情を持ってしまった、俺が悪い訳で。
そうやって心の中で言い訳をして、少しでも痛みを減らそうと努力する。
でもその度に彼の顔が脳内にチラついて、視界が濁ってくる。
涙だけは流すまいと上を向いても、零れようとする’’それ’’は消えてくれなかった。

｢泣くなって...泣いちゃ、だめなんだって...｣

唇を噛み締める。
上を向いたまま、必死に涙を堪えながら自分をどうにか押さえつけた。
声が震えている。
...寒さの所為ならよかったのに。