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画面の中の君 kn→kr ページ13

※「機械と人間」のきんときside(ifルート)


「HeyKiri!今日の天気は?」

スマホに向かって発するのは、いつもの言葉。
ピコン♪と軽快な音が流れ、彼が画面に現れる。
薄い金色の髪、琥珀色の瞳、黒衣を纏ったその姿。
AIなだけに顔立ちは整っていて、なんだか羨ましく思えてしまう。
やがてゆっくりと彼が目を開き、いつもの様に言葉を発した。

「すみません、よく分かりません。」

AIとは思えないほど楽しそうに彼はその言葉を発するのだ。
少しだけ笑顔を浮かべて、こちらを見ながらそれを言うんだ。
...毎日この時間が楽しみなのは、きっと、誰も知らないだろう。
これがプログラムされて出来ている事は分かっているけど、それでも目の前の彼には、どうにも感情があるように思えてならない。

俺が彼を呼べば、少し嬉しそうに反応するし、悪戯っ子のような笑顔を浮かべたりもする。
俺が電源を切ろうとすれば少し寂しそうにするし。
...彼が人間だったらいいのに、なんて、何度考えただろう。

彼が人間だったら、きっと、もっと長く話していられるのに。

彼が人間だったら、きっと、彼と友人になれただろう。

彼が人間だったなら、きっと。
きっと、君に触れられたのに。

...我ながら馬鹿な事をした。
AIに恋をした。
絶対に叶わない。
彼はプログラムされているだけの者なのに。
俺が告白をした所で、プログラム通りの答えしか帰ってこないのに。
アイドルに恋をするようなもの。
それよりもっとタチが悪いけれど。
...普通の会話を交わすことも、出来ないんだから。

「好きだなぁ。...馬鹿、だなぁ...。」

こんな恋、するんじゃなかった。
本当に馬鹿だ。
なんで、AIに。
彼が楽しそうに笑うから?
彼が、人間のように思えてしまうから?
理由なんて見つからない。
それでも好きだった。
理由なんて必要ない?
...それもそうか。

ありもしない話だけれど。
もし、彼に感情があるのなら。
もしも、本当に感情を持っているなら。
それならどうか、俺を好きになってくれないものか、なんて。
この想いに応えてくれないものか、なんて。
いつもの様に、彼を呼んで考えた。

「すみません、よく分かりません。」

いつもの様に、彼が悪戯っ子のように笑って言うから。
好きって気持ちが溢れ出して、口から言葉が零れ落ちた。

「HeyKiri」

いつもの様に、元気には呼べなくって。

「どうしましたか?」

不思議そうに首を傾げて彼は聞いた。
...本当に、感情を持っているみたいだね。

▽→←▽



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作者名:ローゼ | 作成日時:2019年9月23日 15時

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