白尾さん達の恋模様5【BL】 (ページ2)

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臆病者の恋慕 sm→kr ページ2

スマイルside

※紫紺さんリクエスト
リクエストありがとうございます！！

「好き。」

ぽつり。誰も居ない部屋で呟く。
絞り出した小さな声は、あっという間に部屋の静寂の中に消えていった。
そんな告白の返事は、絶対に返ってこないのに。
それでも思考の中の君は、少し嬉しそうに微笑んでくれるから、勝手に期待を持って。
それで、現実を見て少し辛くなる。
...君の前で言えたら、少しは楽になれただろうか。

きっと、一目惚れだったんだ。
かっこよくて、優しそうで、友達と話している時の笑顔が綺麗で。
太陽の光のような金色の髪も、琥珀色の瞳も、全てが輝いて見えたんだ。
でも、いざ関わってみると、案外ふざけたりしてて、でもやる時はちゃんとやって。
リーダーシップ取ろうとするけどみんなに惑わされて、そのままふざけて笑い合ってて。

最初に抱いていた印象とは違ったけれど、更に彼を好きになったんだ。
...彼の事を少しでも知れて、嬉しいと思ったんだ。

「...好きだなぁ...。」

こんな風に、想いは勝手に口から零れ落ちるのに。
彼の前だと、それはどうにも上手くいかなくて。
考えてた事なんて全部溶けて消えてしまって、意味のわからない事ばかり口走る。
そんな自分が嫌だと何度も考えたけれど、彼がそれをからかいながらも笑ってくれるから、また好きになって。
叶わない恋の痛みに、また胸が締め付けられるんだ。
...馬鹿で臆病な俺の恋は、きっと叶わない。

「...素直になることすら、出来ないし。」

手元のスマホの画面を覗きながら呟いた。
電話の連絡先の「きりやん」の文字を指でなぞる。
こういう時ほど、彼の顔が見たくてしょうがない。
自分が嫌になってくる時ほど、君に会いたくなる。
...会いたい、なんて、恋人でも無いのに。
そんな願いを言うのは、ダメだろうか。
我儘だろうか。
嫌われるかな。
何言ってんの？って、いつもみたいに馬鹿にされるんだろうか。