白尾さん達の恋模様4【BL】 (ページ10)

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イヤホン nk→sm ページ10

なかむside

少し蒸し暑い夏の夜。
ただ何となく、外に出た。
何となく、外の空気を吸いたかった。
...少しだけ、気分転換をしたかったんだ。

イヤホンを付けて、音楽を流す。
最近好きになった歌。
彼奴が好きな、この歌。
彼奴に薦められて、渋々聞いたこの歌。
彼奴にしてはセンスが良くて、何となくクセになるような、そんな歌。

「～♪～♪～♪」

思わず口ずさみながら、何となくで歩みを進める。
...おかしいな、なんか、目の前が見えないや。
いつの間にか、視界は涙で濁っていた。
＿＿
＿

無愛想な声と表情。
可愛げがある訳では無いけれど、それでもまぁ、たまに見せる笑顔は可愛いもので。
彼がふと笑うと、なんだか胸が踊っていた。
これが恋なんだと気づいたのは、かなり前の事。
何となく、突然に、ちょっとだけ。
彼奴が笑った時に、何故か。
...好きだなぁ...なんて考えた。
その「好き」が、友情じゃないのなんて、直ぐに理解した。

「なぁなかむ。この歌聞いて見ろよ。」

隣にいた彼から言われた言葉。
彼はスマホとイヤホンを、俺に差し出していた。

「なにそれ。」
「最近聞いてんだよ。いいから、聞け。」
「えぇ～w」

スマイルがハマるなんて珍しいな、なんて思いながら、スマホを受け取ろうとして気がついた。
...上手く行けば、ちょっといい感じになれるかも。
なんて、ちょっとだけ夢を見た。

「ん～じゃあさ、2人で聞こうぜ。1つのイヤホン2人で使うやつw」

なんて、恥ずかしい気持ちを誤魔化すように笑いながらそう言えば。
「そんなことする訳ねぇだろ」なんて、頭を小突かれた。
まぁ、仕方ないか。
そんな簡単に行くなんて思ってなかったし。
ちょっとだけ悔しい想いを、そんな風に誤魔化した。