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ピンポーン♪
シャークんの家のインターホンを鳴らす。
何故か凄く緊張して、喉が渇く。
...忘れてる、なんてこと、ないよね?
「はーい。」
聞き慣れた声が聞こえた。
低くて落ち着いた、僕の好きな声。
元々早かった鼓動が更に早くなって、手を握り締める力が少し強くなった。
「...こんにちは、シャークん。」
「...えっと......誰、ですか?」
あぁ、聞きたくなかった。
知りたくなかった。
忘れられたなんて、認めたくなかった。
胸がズキズキと痛む。
今にでも駆け出して、大声で泣き叫びたいほど、ズキズキと。
「なかむ達の知り合い?」
「......うん...そう。」
本当は、君とも友達なんだけど。
なんて、そんな言葉は飲み込んだ。
...これ以上、傷つきたくなかったから。
nk「やっほー...broooock。」
br「やっほ...。」
kn「その...大丈夫...じゃない、よな。」
kr「俺らもまだ、状況を理解出来てないんだよ。」
sm「シャークんは、本当に覚えてないみたいだし...。」
br「っ......そっ、か。」
涙で声が震える。
必死に零さないように堪えて、歪んだ顔を隠すように下を向いた。
sh「えっと...その、broooock?は、元々俺の友達だったのか?」
br「うん、そう。...よくこの6人で、ゲームしてたんだよ。」
sh「その、ごめんな、俺、覚えてなくて。」
「大丈夫」なんて言葉を彼にかける。
嘘。全然大丈夫じゃない。
今すぐに泣き出してしまいそうな程、胸が痛い。
好きな人に忘れられるのが、こんなに痛い事だと思わなかった。
心配そうにこちらを見てくる緑色の瞳が、今は、ほんの少しだけ痛かった。
nk「...とりあえず、今日は解散にしようか。あとbroooock、言わなきゃいけない事があるから、家に帰ったら通話してくれる?」
br「...わかった。」
覚束無い足取りで家に帰る。
今日の事だけで頭がパンクしそうだ。
部屋に入っても、彼の事ばかりが頭に思い浮かぶ。
とりあえずなかむに言われた通り通話を繋いだ。
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作者名:ローゼ | 作成日時:2019年6月22日 7時