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_彼が発症してから、1日が経った。
約束通り、彼に会いに行く。
broooockの家のインターホンを鳴らすと、直ぐに彼は出てきて、嬉しそうに俺の名前を呼んでくれた。
...良かった。まだ、忘れられてない。
_彼が発症してから、3日経った。
今日も、彼に会いに行く。
broooockの家に上がると、リビングの机にネックレスが置かれていた。
俺が、broooockの誕生日に贈った、黄色の宝石の付いたネックレス。
「...あ、それ?大事な物だった気がするんだけど、覚えてないんだよね...。」
...忘れちゃったのか。
でもいいよ、また、思い出してくれれば。
何回でも、プレゼントしてあげるから。
_彼が発症してから、1週間経った。
今日も、彼に会いに行く。
彼の家のインターホンを鳴らすと、彼は少しして顔を出した。
「きりやん...なんで?」
俺の顔を見ると、彼は驚いたように目を見開いた。
...なんで来てるのかも、忘れたのか。
_彼が発症してから、2週間が経った。
今日も、彼に会いに行く。
出てきた彼の手を握ると、彼はからかうように笑った。
「何〜?wきりやん、どしたの?」
...恋人だった事、忘れちゃった?
今までは、少し顔を赤らめてくれたのに。
大丈夫、大丈夫だよ。
まだ、俺を覚えていてくれるなら。
胸が痛いのだって、涙が零れそうになるのだって、まだ。
まだ、耐えられるから。
...まだ、忘れないでいてよ。
_彼が発症してから、3週間経った。
今日も、彼に会いに行く。
出てきた彼は、少しよそよそしかった。
「...あ、きりやん君。どうかしたの?」
...友達ですら、無くなっちゃったの?
君付けで呼ぶなんて、何年ぶりだろうね。
遠く、なったな。
...あんなに...近くに居たのにさ。
_彼が発症してから、1ヶ月経った。
今日も、彼に会いに行く。
インターホンを押すのが嫌になってきた。
それでも、彼と約束したから。
毎日、会いに行くよ。
_ピンポーン♪
軽快な音が、彼の家に響いた。
暫くすると、彼はゆっくりと扉を開けた。
「...誰、ですか?」
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作者名:ローゼ | 作成日時:2019年6月22日 7時