白尾さん達の恋模様4【BL】 (ページ32)

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それを思い出して、何となく嫌な予感がした。
何となく、誘うんじゃなかったと、心の何処かで考えてしまった。
その’’何となく’’がどうしてなのかは分からなくて。
あっという間に放課後になってしまった。
＿＿
＿

kr「こんにちはー」
kn「いらっしゃい、入って。」

放課後、きりやんが俺の家にやってきた。
相変わらずイケメンだ。
αはみんなこうだからなぁ...妬ましいわ。
上がるように言って、俺の部屋に招き入れる。
扉を開けて、部屋に入った。
シャークんは既に俺の部屋にいて、お茶を飲んでいた。

sh「こんにちは。」
kr「あ、こんにちは...っ、！？」
sh「っぁ...ぇ？なに、これ...っ、」

彼らが目を合わせた瞬間、部屋に強いフェロモンの香りが充満した。
βの俺ですら誘発されてしまいそうになるほどの、甘いフェロモンの香り。
座り込んできりやんを見つめるシャークんの息は上がっていて、顔も赤く染まっている。
いわば、ヒートの状態になっていた。
...嘘だろ、これって。

kn「運命の、番...？」

あぁなるほど、そういう事か。
嫌な予感は、これだったのか。
...ほんと、会わせるんじゃなかった。

kr「っ...ごめ、きんとき。シャークん連れ帰るわ。」
kn「っえ...あ、おう...。」
sh「っぁ...きり、やぁ？」
kr「すぐ収まるから、ちょっとだけ我慢して。」

きりやんはシャークんを姫抱きすると、俺の部屋から出て行った。
俺は呆然と、さっきまで彼がいた所を眺めていた。
すぅ、と息を吸えば、微かに残ったフェロモンの香りが鼻腔を擽る。
...そっか、運命の番か。
そうだよな、αとΩだもんな。
こうなる事も、全然可能性があったのに。

「馬鹿だなぁ...俺。ほんとに...っ、」

甘い甘い香りがした。
彼奴よりもずっと長い間彼といたのに。
こんな香りは知らなかった。
俺の為の香りじゃなかった。
...彼の隣には、結局いられなかった。
βじゃなければ良かったのに。
彼が、Ωでなければ良かったのに。

「羨ましいなぁ...。」

心の底から、αが羨ましい。
...いや、嘘か。
今は、αじゃなくて。
ただ。ただ、彼奴が羨ましい。
彼の隣にいられる彼奴が、心の底から羨ましくて。
そして、心の底から憎かった。