白尾さん達の恋模様3【BL】 (ページ27)

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その答えを探すかのように、ふらふらと足を進めた。
こんな道、知らないのに。
知らない...筈なのに。
暫く歩くと、小高い丘に着いた。
丘を登ろうと1歩を踏み出す度に、頭痛が酷くなる。
それでも、何故か歩みを止めることは出来なくて。
やがて、丘の1番上に着いた時、ひとつの石が見えた。
綺麗に飾られたそれは、正しく墓石で。
そこに彫られた一文に、目を疑った。

『WT国幹部 broooock ここに眠る』

ぶるー、く？
ここに、眠る？
そんなの、そんなのまるで。

「彼奴が、死んでるみたいじゃないか...。」

今までで1番激しい痛みが頭に走った。
灰色、炎、悲鳴。
あぁ...これは、戦争だ。
沢山の兵士が武器を持って戦う。
血に塗れた、最悪の戦争。

...最悪？どうして？
今まで、これ以上の被害を出した戦争なんて、幾らでも...。

『スマイルっ！』

そこに聞こえたのは、彼の声だった。
いつもの間延びした眠そうな声じゃなくて、切羽詰まったような、そんな声。
その瞬間、視界を赤が覆い尽くした。
彼のパーカーの、赤。
それが俺の目を塞いだ。
俺に覆いかぶさった赤は、紅を吐き出していた。
明らかに、彼とは違う、紅。
憎たらしい程綺麗な、紅。
彼の口から吐き出されたそれは、血以外の何者でもなかった。

『ぁ、あぁ、ぁぁぁああああ！』

取り乱して泣き叫ぶ俺が写った。
動けなくなった俺を、銃口が捉えた。

＿パァァァン！

辺りの音に混じって、銃声が聞こえた。

＿あぁ、そっか。
そうだった。
彼奴は...。

「もう、居ないんだった...。」

思い出した。
思い出してしまった。
あぁ、だから忘れてたのか。

「ごめん、なさ...ごめんなさい...っ」

紫色の目から、とめどなく涙が溢れた。
涙を拭ってくれる彼は、もう居ないのに。
優しく慰めてくれた彼は、もうどこにも居ないのに。
それでも、心の何処かで、この涙を拭ってくれるんじゃないかと期待していた。
俺の目から零れ落ちる涙は拭われる事無く、冷たい墓石の上に落ちていった。
体に触れるのは、優しくて、暖かい風だけで。
辺りに聞こえるのは、その風に揺られて動く木々の音と、俺の嗚咽だけ。
ただの風だというのに、何故かその温かさは、彼の体温のように感じられてしまって。
また1つ、涙が零れた。

「大好き。」

墓石に添えられた沢山の紅い花に、また1つ、雫が落ちた。