白尾さん達の恋模様【BL】 (ページ40)

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家に着くなり、ベッドに転がり込んだ。
未だにモヤが晴れない気分を、どうにか落ち着かせたくて、スマホを開く。
それと同時に、LINEの着信音。

きんときなかむ、聞いて

聞きたくない。
その言葉の続きは、どうか言わないで。
告白するってだけで苦しくて、息をするのも辛いのに、その返事なんて聞いたら。

＿ピコン♪

そんな願いも虚しく、続きの書かれた文が送られた。
軽快な音と一緒に伝えられたのは、俺にとって最悪の内容で。

きんときOKしてくれた!

そんなたった1行の文には、嬉しさが滲み出ていて、心の中の悪魔が、’’振られてしまえば良かったのに’’と囁いた。
段々と滲む視界に気付かないふりをして、

なかむおめでとう!良かったね!!

なんて、心にも思っていない台詞を打つ。
送信のマークを押せば、スマホの画面に水滴がポタリと落ちた。
遂に溢れてしまった失恋の涙は、留まることを知らない。
溢れて、溢れて、止まらない。
初めての失恋は、思っていた以上に痛かった。
＿＿＿＿
＿＿
＿

泣いて、泣いて、泣いて。
気付けば朝になっていた。
枕元はまだ少しひんやりしていて、どれ程自分が泣いたのか、嫌でも分かってしまう。

起きる時には真っ赤だった目元も、家を出る頃にはすっかりいつも通り。
いつも通りの俺を演じて、憂鬱すぎる気分のまま、学校に向かった。

「おはよ、なかむ！」

昇降口で出会った彼は、いつになく嬉しそうで。
いつも通りの笑顔の筈なのに、何故かいつもより輝いて見えた。
...その笑顔に、胸がドキリと音を立てた。

＿あぁ、分かってたよ。
知ってたよ。
誤魔化してたんだ、ずっと。
本当は、彼の恋する顔が好きな訳じゃ無かったんだ。
知ってたんだ。
ずっと、ずっと前から。
俺は、きんときの全部が好きだったんだ。
失恋してもいいように、恋する顔が好きだと、自分の気持ちに嘘を吐いていただけ。
本当は、彼の笑顔も、声も、仕草も、全部、全部が好きで。
好きで堪らなくて。
だからこそ、まだ、想いを捨てきれずにいるのに。
君はそんな事も知らずに、幸せそうに彼女の話をするんだ。
その幸せを、独り占め出来るあの人が羨ましい。

「あのさ、それでさ、昨日＿＿がさ！」

＿ごめんね。
たった今、嘘を吐いた。
君の全てが好きだと言ったけれど。
そんな風に笑うのは、彼女の為だから。
彼女を想って笑う君の笑顔は、どうしても、好きになれそうにないや...。