雨の日 kr→kn ページ20
きりやんside
今日は雨の日だった。
君が好きだと言っていた、雨の日。
ジメジメしていて暗い雨の日の、何処が良かったのか。
理由を聞けば、
「雨は俺の色だから。」
とか意味の分からない事を言っていたっけ。
「雨は透明だぞ？w」
「別にいいだろそんなん！」
「よくわかんねぇわ...w」
こんな会話が懐かしく思える。
出会ったのは晴れの日で、告白したのは雨の日だっけ。
だからかな、好きと言ってくれたのは。
自意識過剰か。
...やっぱわかんない。
今君がここに居れば、その答えも聞けたかもしれないのに。
「ごめんね」とだけ書かれたメモを残して、彼は何処かに行ってしまった。
電話も繋がらない。
何処を探しても居なかった。
簡潔に言えば、捨てられたのだ。
不器用なりにも愛していた。
好きだと直接言えたことは少なかったけど。
それでも、大好きだった。
けど、きっと彼には足りなかったんだろう。
ちゃんと言えば良かった。
好きだと、ちゃんと。
そんな事を思っても、遅いのにさ。
＿ﾎﾟﾂｯ、ﾎﾟﾀｯ、ﾎﾟﾀﾎﾟﾀｯ、ﾎﾟﾀｯ
傘を叩く雨音がやけに煩く感じる。
いつもなら、こんな音も気にならなかったのに。
いつもなら、彼が隣にいたのに。
...静かだなぁ。
＿雨の日は嫌いだ。
君を、思い出してしまうから。
やっと、好きになれそうだったのに。
雨の日に消えるなんて、何の嫌がらせだよ。
...大好きだった。
大好き。今でも。
もう一度会いたい。
もう一度抱きしめたい。
もう一度、好きだと言いたい。
...いつまでも胸に居座り続けるこの想いも、雨が綺麗に、流してくれればいいのに。
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作者名：ローゼ | 作成日時：2019年4月14日 22時
