白尾さん達の恋模様【BL】 (ページ34)

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＿どれだけ、語りかけても。
彼の名前を呼んでも、彼の体を揺すっても、彼は決して目を開けなかった。
俺の大好きだったあの瞳は。
あの綺麗な青色は、もう二度と見ることが出来ない。
俺の大好きなあの声は、もう二度と、聞くことが出来ない。
俺を、庇ったりなんかするから。
それなのに、それなのにどうして。

「なんで、笑ってんだよ...っ...。」

彼は、笑顔で眠っていた。
それはもう、幸せそうに。
どうせなら、恨んで欲しかった。
涙ぐらい、流して欲しかった。
お前のせいで死んだって、なかむのせいだって、言って欲しかった。
けれど彼は、最期まで、俺の心配をして。
最期まで、君は優しくて。
恨まれていたなら、罪滅ぼしと言って、この命を投げ出せたのに。
涙を流したって可笑しくないのに、恨んでいたって、可笑しくないのに。
それでも、彼は笑っていて。
その彼の笑顔は、やっぱり綺麗だった。
初めて会ったあの時と同じくらい、綺麗だった。

最期まで笑ってるのは、どうしてだろう。
最後の言葉が、彼に届いたんだろうか。
それなら、これくらいは、許して欲しい。
最後に、これくらいは。

まだ少し温かい彼の唇に、俺はそっと口付けをした。
やっぱり、少しだけ温かかった。

「君は、最期まで、俺の太陽なんだね...。」

＿徐々に日が登り始めた。
朝焼けの気温は、温かいとは言えないけれど、心地良かった。
憎たらしい程綺麗に、太陽は空を照らすのに。
俺の中の太陽は、もう二度と、登らないから。
俺の心を暖かくしてくれる太陽は、もういないから。
感情なんて物も、もう要らないだろう？
そして、氷のように、冷たくなってしまおう。
また彼に出会った時、暖かさを覚える為に。