【 第24話 】 ページ26
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彼女たちを無事に送り、さて帰ろうかと来た道を帰ると、そこには見覚えのある1人の男が立っていた。
髪は白いが姿勢や態度には年による衰えを一切見せない。
思い出した。自分が探偵社に来た初日に襲いに来たものの返り討ちにあった人。
彼は鈴木の目の前まで歩いて口を開く。
「ポートマフィア黒蜥蜴の百人長、広津柳浪。
首領の命令で、あなたを送りに来た。
ここから探偵社の社員がいるところまでは戻れないだろうとのことだ。途中まで送ろう。」
そこまで言うと早速歩きだす。隣に立っていた島崎と目を合わせてから後を追う。
いきなりの案内について不安な部分も無いわけではないが、願ったり叶ったりだ。
安堵していた鈴木の心を見透かしたように彼は振り返らずに続けた。
「勘違いはしないことだ。
これがいつまでも続くとは思わないほうが良い。協力するとは言ったが、裏切らないとは言っていない。」
ここでへぇ、と一言呟いたのはここまで協力してくれた藤村。
「それでも鈴木に随分と協力的だね。
わざわざ道に迷わないよう案内してくれるのはなんで? 初対面の時は手荒なことをしたみたいだけど?」
いつものように司書さん、とは呼ばず名字で呼ぶ彼に心の中で静かに感謝。きちんと隠してくれるのはありがたい。
問われた彼はちらりとこちらを見て再び前を向く。
「わざわざ波を立てる必要があるか? 立てなくてもいい波のせいでさらわれるのは御免だ。」
島崎はふぅん、と1つ返事をして大人しく黙る。
黙ったまま歩き続けていたが、不意に柳浪が止まる。
何かと思えば遠くに1台の車があり、側には独歩と潤一郎が立っている。どうやら自分を待っているらしい。
「ありがとうございます。ここまで来れば、あとはなんとか」
そうか、と柳浪は立ち止まる。
「私もここから先へは行けないからな。では、失礼する。」
小さい礼を1つして彼は帰っていく彼を遠くへ見送ってから島崎も口を開く。
「じゃあ、僕も帰ろうかな。ちゃんと皆に報告しておくね。」
「はい、ありがとうございました。お願いします。」
じゃあ、と一言置いて彼もまた帰る。
先ほどまで彼がいた場所からは、ひらひらとかな文字が落ち、地面に落ちては雪のように消えていく。
鈴木、潤一郎、独歩、以上3名。無事任務完了。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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新美南吉@文アル大好き💛 - もっと文アルメンツとのからみを増やして頂きたいです (2023年3月11日 1時) (レス) @page18 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
朱備(プロフ) - サーモニウムさん» コメントありがとうございます。ちょっと変わった始まりにこだわったので、気付いていただけてとても嬉しいです。中々更新できない状態が続いていますが、よろしくお願いします (2018年10月10日 21時) (レス) id: a1b9f2f616 (このIDを非表示/違反報告)
サーモニウム(プロフ) - クロスオーバーの仕方が独特で、とても面白いです!更新を楽しみにしながら応援しています!!! (2018年10月10日 16時) (レス) id: d876c6f450 (このIDを非表示/違反報告)
朱備(プロフ) - 杞憂さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。とても遅い更新となっていますが、これからもこの作品を宜しくお願いします (2018年1月10日 18時) (レス) id: a1b9f2f616 (このIDを非表示/違反報告)
杞憂(プロフ) - すごく面白いです!クロスオーバー作品ってあまり好きでは無かったんですけど、この作品は大好きになりました!これからも頑張ってください! (2018年1月10日 17時) (レス) id: bbdda47fdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱備 | 作者ホームページ:http://kakyoinlove
作成日時:2017年12月3日 17時