【 第18話 】 ページ20
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鬼ごっこの起源は諸説ある。
それは『追儺』といい、鬼を追いかけるというものらしい。
それが、いつの間にか追いかける者が追いかけられる者へと変わったのだという。
鈴木はそんなうんちくを思いだしながら目の前の『鬼ごっこ』を目で追っていた。
異常なまでに速い異形の人形、あっという間に捕まった社の先輩、絶望的な現状。
目をそらさないだけ自分を誉めたい。
なお、鈴木は万が一に備えて鴎外を護衛するため、『鬼ごっこ』に参加していないので安全である。
「しかし、いいんですか?
私だけここに残ってもいいのですが……?」
「あぁ。
ここにエリスちゃんが居ることは確かなんだ、置いて帰る訳にいかないよ。」
小声で問うと同じように小声で返してくれる辺り、まだある程度の落ち着きは残しているようだ。
しかしどう見ても彼一人でこの状況に立ち向かうのは無謀である。
まるで軽業師のように、しかし命がけで逃げ続ける彼をモンゴメリと名乗った彼女は手を叩いて誉めた。
「なんて力強くて便利な異能なんでしょう。
さぞ幼少から皆にちやほやされたに違いないわ。」
喋り続ける彼女。黙り混む敦。
「あなた、元孤児なのですってね。
あたしも孤児院育ちなの。とても寒いところよ。」
元孤児、といえば彼女の有名な作品、『赤毛のアン』の主人公だろう。
作者自身は孤児ではなかったはずだが、この世界で著者と作品は深く関係しているのは外国の方も例外ではないようだ。
恐らく、彼ら以外にも沢山いるのだろう。
そして恐らく、小説を綴った者だけではなく、詩や俳句に生涯を支えた者も出る。
転生した文豪と共に書物を守る仕事ゆえに知識は豊富だが、それがこの奇妙な世界でどこまで通じるかわからない。
下手な行動は止め、鴎外率いるポートマフィアと『協力』して動くしかない。
そして、帰るためには目の前の問題を一つずつ解決してクリアにしていくしかないのだ。
それは今とて変わらない。
自分はこの戦闘に参加しないかもしれない。そうであっても、油断はならない。
僅かな油断が大敗を招くことは十二分に承知している。
「不公平よ。
あなたもあたしの気持ちを思い知るべきだわ。」
そう言い放ち、一歩踏み出した彼女は戦闘体制を取る。
「この部屋の中で永遠にね。」
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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新美南吉@文アル大好き💛 - もっと文アルメンツとのからみを増やして頂きたいです (2023年3月11日 1時) (レス) @page18 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
朱備(プロフ) - サーモニウムさん» コメントありがとうございます。ちょっと変わった始まりにこだわったので、気付いていただけてとても嬉しいです。中々更新できない状態が続いていますが、よろしくお願いします (2018年10月10日 21時) (レス) id: a1b9f2f616 (このIDを非表示/違反報告)
サーモニウム(プロフ) - クロスオーバーの仕方が独特で、とても面白いです!更新を楽しみにしながら応援しています!!! (2018年10月10日 16時) (レス) id: d876c6f450 (このIDを非表示/違反報告)
朱備(プロフ) - 杞憂さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。とても遅い更新となっていますが、これからもこの作品を宜しくお願いします (2018年1月10日 18時) (レス) id: a1b9f2f616 (このIDを非表示/違反報告)
杞憂(プロフ) - すごく面白いです!クロスオーバー作品ってあまり好きでは無かったんですけど、この作品は大好きになりました!これからも頑張ってください! (2018年1月10日 17時) (レス) id: bbdda47fdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱備 | 作者ホームページ:http://kakyoinlove
作成日時:2017年12月3日 17時