猫と家族 6 ページ6
「駄目!」
「ちょっ、おい!?」
私は白猫を追いかけた。
追いかけて追いかけて、やっと追いついて抱き上げると「みゃあ、みゃー!」と盛んに鳴いて暴れる。
「落ち着いて…!」
「みゃ!みゃー!」
「……」
一瞬草の音がした。それと同時に女の子の泣き声が聞こえてきた。
あっちに誰かいる。そう分かった瞬間、猫に「元の場所へ」と言って離した。
猫が居なくなるのを感じながら、ゆっくりその場所へ足を踏み入れた。
「……うっ、ヒック」
「どうしたの?」
女の子はぺたんと座り込んで泣いていた。
「……Aさまぁ…!」
「ゆっくりでいいから話してくれませんか?」
「里に、厄魔が出て…!お母さんが、助けを呼びに行けって…!」
「大丈夫です、貴方はこの先にいる謙信様の所へ」
「A様は…?」
「私は先へ行きます」
「あっ!A様!?」
私は厄魔が出た里へ向かった。
厄魔を倒せるのは、月牙族だけなのに頭からそのことがすっぽりと抜けていた。
…
……
「此処ね」
着いた里の状態は最悪だった。あらゆる家屋の全てが壊されていく。
其の時、私の目に村人が厄魔に襲われそうになっているのが入ってきた。
「……やめろ!!」
ガギン!
剣で厄魔の攻撃を防いだ。
「早く皆を連れて逃げなさい!」
「しかし…!」
「いいから、早く…!」
村人は急いで隠れていた者に声をかけて逃げていった。
ぐぐぐ…
厄魔に押されている。
私は直ぐに身を引いて後ろに足を着いた。
「ここの地形は近くに…」
そうとなれば、引き寄せるだけだ。
急に後ろを向いて、走り出した。
「はっ、はっ…」
ドシドシン!
村から離れた開けた場所についたと同時に振り返って、厄魔と対峙した。
足がすくみそうになる。
「……私にはやるべきことがあるの、だから立ち止まるわけにはいかないの…!」
ガキン…!
金属音が響く。
【謙信SIDE】
Aが向っているという場所へ急いで向っていた。
里に着くと、その人々が安堵の表情を見せた。けれど、そこにAの姿はない。
「Aは何処だ」
「謙信様、その…A様は厄魔を引き連れて、この先の平野で…」
共に来た景勝と兼続の気配が鋭くなっていく。
「……わかった。兼続、景勝はけが人の手当てを」
「……わかりました」
それを聞いたと同時に足が動いた。
焦る自分がいる。失いたくない自分がいる。守りたい自分がいる。
あの愛し子を守れない自分に憤慨する自分も。
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あかり(燈)(プロフ) - 理衣さん» はい、少しだけ話を変えて書いています。 (2018年3月11日 13時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
理衣 - これは、発売された小説「掌中之珠」と同じのをかいていますよね? (2018年3月11日 10時) (レス) id: 0d8c8c0b60 (このIDを非表示/違反報告)
ハルル - 上杉謙信のことがすごく好きなので、早く続きが読みたいです。待ってます。 (2018年1月29日 10時) (レス) id: 4e10d5168c (このIDを非表示/違反報告)
あかり(燈)(プロフ) - ありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年1月27日 16時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年1月27日 0時) (レス) id: 59f45044d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかり(燈) | 作成日時:2018年1月26日 16時