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喧嘩と傷 6 ページ20

「ああ、確かに…」
「で、何かしらお願いされたら、お人好しのお姉ちゃんの事だから手伝おうと思って…」
「「あ」」
その場にいる皆の声が重なった。
上杉に関しては、皆頭を抱えた。
「あんのお人好しが…!」
「兼続、お人好しなのはいつもだよ。…守れなかった僕らのせい」
「…いや、私のせいだ」
あの日、始めて喧嘩した時…Aが言っていたことは正論だった。
私はAが消えないように、惨めな独占欲を正論に覆い隠してそれを押し付けただけだ。
其れでAを傷つけた。
私は、結局のところ馬鹿な男に入るのだ。
大切な人、大切な女一人守れないのだから。
「…謙信さん、お姉ちゃんはただ後悔してるだけだと思います」
「…?」
「お姉ちゃんは案外単純なんですよ。正しい人を正しいと思う、被害が少ないと思えばその方法を迷いもなくやる。謙信さんと喧嘩したのは、お姉ちゃんの中で複雑な気持ちが生まれたから言った、そう私は思うんです」
勿論、謙信さんとか上杉軍の皆さんと暮らしていて。
Aの妹である結月は、ふわりと笑った。
…やはり、こんな時でも姉妹は似ているものだ。
「あんさァ…俺のこと忘れんの止めてくんねェ?」
「あ、ごめん…」
「やめろ、謝んな。虚しい」
彼岸、すまん。
お前の存在を気にしていられる程、冷静ではなかった。
「あ、この前の」
「お、御前さんの妹」
「御前さんって、お姉ちゃんの事ですか?」
「ああ」
「あ、もしかして神社のお狐様って…」
「よく知ってんなァ」
「お姉ちゃんから教えてもらいました」
知り合いか?
そう思いながら、彼岸を見ると「おん」とうなづいた。
「そう言えば、彼岸はAがいるところが分かるのか?」
「分かるが…探せって言ったって、出来ねェかんな。広すぎる範囲はやりにくいんだよ」
「そうか…ぐぬぬ…どうするべきか」
と話しながら急いでいると、
「ちょーっと待ったぁ!!」
と木々の間から何かが出てきた。
「おっと…豊臣秀吉か」
「何の用だ」
「警戒するのはやめてくれないかな。そっからじゃないと落ち着いて話せないしね」
「…」
私と信玄が目を見合わせて頷くと、皆が警戒を解いた。
「どうも。…んじゃ、歩きながら話しますか」
「急ぎではないのか」
「ああ、急ぎじゃないけど『できれば早くしろ』って言われてるもんでね」
豊臣秀吉は、私を見てこう言った。
「Aはこちらで預かっているのは知っているだろう?もしかしたら、彼女は…」
「?」

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あかり(燈)(プロフ) - 理衣さん» はい、少しだけ話を変えて書いています。 (2018年3月11日 13時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
理衣 - これは、発売された小説「掌中之珠」と同じのをかいていますよね? (2018年3月11日 10時) (レス) id: 0d8c8c0b60 (このIDを非表示/違反報告)
ハルル - 上杉謙信のことがすごく好きなので、早く続きが読みたいです。待ってます。 (2018年1月29日 10時) (レス) id: 4e10d5168c (このIDを非表示/違反報告)
あかり(燈)(プロフ) - ありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年1月27日 16時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年1月27日 0時) (レス) id: 59f45044d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかり(燈) | 作成日時:2018年1月26日 16時

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