喧嘩と傷 ５ ページ19
「俺が最初に話しかけるって決めてたのに…」
元気そうな男の子が落ち込んでいる。
取り敢えず、頭を撫でた。ブンブンと尻尾を振られた。
「抜け駆けは良くないな」
「むぅ…お姉ちゃんは私のなのに」
結月とクールそうな男の子が私の周りに座る。
「Aさん、人気者ですね」
苦笑しながら、兼続が言う。
「可愛いから、いいの」
「可愛いか…貴女にこそ、似合う言葉だな」
「ふふ、ありがとうございます」
雰囲気に乗って気分が高揚しているのだろう。
涙が零れた。
「……？泣いてるの？」
「え、お姉ちゃん大丈夫？」
「大丈夫、大丈夫だよ」
「……母上」
「Aさん？」
大丈夫だよ。
そう繰り返して言っても涙は零れていく。
「どうした？」
「あ、信玄さん、謙信さん。それが…って、お姉ちゃん!?」
謙信様が近くに来たと分かった瞬間、私はその部屋を飛び出して廊下を走っていた。
…
……
走り続けて、森の中に入った途端に木にもたれた。
「はぁ……はぁ」
息切れと心臓の鼓動が響いて、頭がガンガンする。
「……てか、ここどこ」
木に登ってみると、遠くに町が見える。
その近くに城があるから……
「大分遠くまで来ちゃったなぁ」
「おねーさん」
「ひゃっ！」
後ろを振り返ると、フードを目深に被っている子がいた。
「えっと…どうしたんですか？」
「迷子になっちゃって…」
「そうなんだ。じゃあ、最後に親御さんと別れたところまで連れて行ってくれない？」
「うん」
私はその子と一緒に行こうと思い、下に降りた瞬間、その子が消えた。
え、と声を出す暇もなくみぞおちに激しい痛みを感じた。
「っ!?」
「…簡単に引っかかるんですね。もうちょっと警戒したらいいんじゃないですか」
「……あ、なたは…」
霞んでいく景色の中で見えたのは、白い髪だった。
【謙信 SiDE】
Aの様子がおかしい事も、その原因は私だという事も知っていた。
だが、私が近くに来た瞬間に走り去ったのを見た時。
あの時、私は追いかけられなかった。
…
……
「……謙信、大丈夫か」
「…いや、気が狂いそうだ」
あの後、Aの後を追っていた従者の報告でAが織田軍によって連れ去られたことがわかった。
「あの、謙信さん」
「なんだ」
「お姉ちゃん、多分蘭丸君に連れていかれたと思うんです」
「何でだ？」
「だって、蘭丸君が容姿隠したらただの子供に見えるじゃないですか」
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あかり（燈）(プロフ) - 理衣さん» はい、少しだけ話を変えて書いています。 (2018年3月11日 13時) (
レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
理衣 - これは、発売された小説「掌中之珠」と同じのをかいていますよね？ (2018年3月11日 10時) (レス) id: 0d8c8c0b60 (このIDを非表示/違反報告)
ハルル - 上杉謙信のことがすごく好きなので、早く続きが読みたいです。待ってます。 (2018年1月29日 10時) (レス) id: 4e10d5168c (このIDを非表示/違反報告)
あかり（燈）(プロフ) - ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2018年1月27日 16時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年1月27日 0時) (レス) id: 59f45044d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかり（燈） | 作成日時：2018年1月26日 16時
