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喧嘩と傷 ページ15

朝目が覚めると、勿忘草色と肌色が微かに見えた。
「…」
「…母上っ!……父上っ、母上が…!」
「Aさん!聞こえますか!?」
「…っ景勝と、兼続?」
ようやく目が慣れてきて景勝と兼続がいるのだと理解した時、ドタバタと廊下を急いで歩く音が聞こえた。
「…A、生きていたか!」
「…生きています」
「貴方、こちらの心配を知らないから言えるのでしょうが…丸2日寝ていたんですよ?」
「…え、」
謙信様のほうを向けない。
物凄く、鋭い雰囲気になってる。
「……外に出ていろ」
「しかし…っはい」
謙信様以外の皆が廊下に出て行った。
謙信様を見れず私はうつむいていると、
「…A」
「……っ」
「お前は我が軍にとって影響力が大きいか、知っているのか?」
「…申し訳ありません。恐縮ではありますがお教えください」
「……」
「……」
「……お前が寝ている期間、景勝も兼続もこの軍の皆が心ここにあらずと言った感じだった。
皆お前が起きぬことを心配して、見舞いに来るものもいたそうだ」
「…そうなので「私も」…」
「私もお前が起きぬことに狼狽していた。
この二日間の夜、ふと目を覚ましてお前を見に行ったこともあった。
しかし、お前は起きぬ」
「……申し訳ございません」
謙信様は怒っていらっしゃる。
そう思った瞬間、謝罪の言葉が口からこぼれた。
「謝ればいいという話ではない!!
お前は私だけではない。この軍の全ての兵に対してもお前は、大切な守るべきものだ。
…お前が傷ついたと聞いて私たちがどのように思ったか、考えたことがあるのか!?」
「…ならば、上杉軍でも救えぬ者どもはどのように守るというのですか!?
私が傷ついて皆がどう思うのかは分かりませんが、救わねばならぬ者を切捨てる決断が私には出来ない!
守るべきものが傷つき苦しむのに対し、私は貴方の掌中で守られていればいいと!?
…ふざけないで!!
誰か救わねば、守らなければ全ての民は平和に過ごせない。
例え、それらを切捨てる決断が正しくて守る決断が間違っているならば、それでもかまわない!!」
「そのためには己が傷ついてもいいというのか…ふざけるな!!
我が軍にとっても、私にとってもお前は特別な存在なのだ。
確かに民が傷つくのは危惧するべきものだ、がお前は身近な守らなければならぬ者なのだぞ!?」
「私は守ってもらずとも平気です!!
私は私の信念がある!!」



*初めての喧嘩回

喧嘩と傷 2→←記憶と涙 4



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あかり(燈)(プロフ) - 理衣さん» はい、少しだけ話を変えて書いています。 (2018年3月11日 13時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
理衣 - これは、発売された小説「掌中之珠」と同じのをかいていますよね? (2018年3月11日 10時) (レス) id: 0d8c8c0b60 (このIDを非表示/違反報告)
ハルル - 上杉謙信のことがすごく好きなので、早く続きが読みたいです。待ってます。 (2018年1月29日 10時) (レス) id: 4e10d5168c (このIDを非表示/違反報告)
あかり(燈)(プロフ) - ありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年1月27日 16時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年1月27日 0時) (レス) id: 59f45044d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかり(燈) | 作成日時:2018年1月26日 16時

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