記憶と涙 ページ12
【彼岸SIDE】
妖怪ってのは人の恐怖や噂、想いで生まれる。恐ろしい容貌をした奴が根は優しいなんてのは妖怪の中では普通のほうだろう。
俺は、妖怪の中でも強いほうだろうとは思っている。事実、月牙族に負けないほどの妖力がある。
妖怪たちにも大将として慕われているらしい。
この世には、幽世と常世がある。
幽世は俺たちのような常世に居場所を亡くした妖怪共が集い、普通に暮らしているところ。
常世は人間たちが暮らすところ。っても、神牙の様に沢山の異世界があるがな。
俺たち妖怪は常世で呼び出されたら、どんなに拒絶しても行かねばならない。拒否権は無いに近しい。
そんな感じで常世と幽世は成立していた。
そんな中、俺は姫神子とかいうやつによって神牙に呼ばれた。
妖怪のトップであった俺が呼び出されたという事で、一瞬で幽世は荒れた。
俺の家である屋敷の前には友人や見覚えのない奴らまでいた。中には俺に喧嘩を仕掛けた奴もいたが返り討ちにしておいた。
「めんどくせェ……」
「ま、彼岸は皆のリーダーだったからね。仕方ないだろ」
「…他人事だと思いやがって。お前のほうが凄くなると思うけどなァ」
「……君のそういう所が皆がリーダーって思ってる原因だと思うけど」
屋敷の中の最奥にある書斎で突っ伏すと、旧知の八朔が苦笑いしながら言った。
八朔にしては珍しい反応に、この時どうかしたかと聞けばよかったと今更後悔しても後の祭りだった。
それから少し経って、そろそろ周りの奴らに俺が神牙に行くと実感を持たせていた。
そして、日毎に八朔はやつれていった。
「八朔」
「ん？どうした？」
「…いや、やつれてねェか。お前」
「気のせいじゃないかな。もしかしたら、君が居なくなる事の後始末でこうなったのかもしれないし」
「いや、その割には…」
凄いやつれてるぞ。
そう言おうとした瞬間、表から叫び声が聞こえた。
「何事だ…？」
「……っ行かないでいいじゃないか？君がいなくても…」
「そう言う訳にもいかねェだろ！」
八朔の制止を遮って表に飛び出した。
「…君がいなかったら、僕は君をどうすればいいのかわからないんだ」
八朔がそう言っていたのにも気づかずに。
「なっ…」
表に飛び出した俺は目を見開くしかなかった。
目の前には、沢山の妖怪たちがいた。
「お前ら、何してやがる…!?」
「あんたのおかげで、うちの子が…!!」
かまいたちのおばちゃんがそう言ったと同時に、皆堰を切ったように責めてきた。
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あかり（燈）(プロフ) - 理衣さん» はい、少しだけ話を変えて書いています。 (2018年3月11日 13時) (
レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
理衣 - これは、発売された小説「掌中之珠」と同じのをかいていますよね？ (2018年3月11日 10時) (レス) id: 0d8c8c0b60 (このIDを非表示/違反報告)
ハルル - 上杉謙信のことがすごく好きなので、早く続きが読みたいです。待ってます。 (2018年1月29日 10時) (レス) id: 4e10d5168c (このIDを非表示/違反報告)
あかり（燈）(プロフ) - ありがとうございます！これからも頑張りますね！ (2018年1月27日 16時) (レス) id: 914f7010c5 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2018年1月27日 0時) (レス) id: 59f45044d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかり（燈） | 作成日時：2018年1月26日 16時
