6.4＊ ページ39
なんか、耳がくすぐったい。
目を開くと、ぼんやりとした視界に同じ顔が二つ並んでいる。あ、侑さんと、治さん？
寝ぼけた思考で何で2人がいるんだ？と思い出していると耳もとにふーっと息がかかる。
『ぅ、あ……な、なにっ？』
侑「あーあ、起きちゃったなぁ」
『ん、みみ、やめて……』
侑「だーめ。耳隠さんで？」
両手で耳を塞ごうとすると両腕を頭の上で押さえつけられる。なに？何が起こってるの？
治「なぁ、耳、気持ちいい？」
『んん、っ、くすぐったい、……』
治「違う、気持ちいい？」
侑「ははっ、腰引けとるで」
2人に耳元で囁かれるたびに背筋がゾクゾクする。足をバタバタと動かそうとするも、そちらも押さえつけられてしまう。くそぅ、私にも身長があれば。
侑「大丈夫やって、耳だけやから。」
『みみ、だけ……？』
侑「せやで、体には何も手ェ出さんから」
耳だけで気持ちよくなってなぁ。
や、やばい。どうしよう、怖い。
気がつくと涙腺が緩んでいたらしく、涙が流れていた。
治「あー、ツムがAのこと泣かした。」
侑「え、あ、ほんまや。てか、お前もやろ！」
すまん、腕痛かったか？と両腕を離してくれた侑さん。
泣きながら鼻水を啜ると、治さんが抱きしめてくれた。
治「ごめんなぁ、意地悪しすぎたな。」
『ぅ、おさむ、さん……』
治「ん？何や？」
起き上がると同時に治さんの腹へとパンチを入れる。
治「ゔぅッッ！？！？！？」
侑「さ、サムぅ！？」
『侑さんも、殴られるなら腹と顔どっちがいいですか。』
侑「……腹でお願いし、ま、ゔぉ！？！？」
侑さんにも同じように拳を入れる。
『ふ、2人とも、最低です。』
謝り倒す双子を横目に、無視をし続ける。
それから1週間は口を聞かなかった。
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作者名：七瀬七海
| 作成日時：2024年3月6日 23時
