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足の蹴られたところが痛いため、治さんにおんぶをしてもらい、いまだに怒られているであろう侑さんのところへ向かう。
治「ほんまにあいつに会うんか?」
『はい。ウチも一発殴ります。』
治「それはええなぁ。俺が抑えとくで。」
北「インターハイ前やけど、侑の処分はAに任せるわ。監督たちにも俺から言っておくから。」
体育館の扉を開くと、正座をしている侑さんがいた。
角名「ほら来たよ。」
侑「……」
思いっきり治さんに殴られたのだろう、左頬が腫れていた。
おんぶされていたのをおろしてもらい、侑さんのところへ歩いて行く。
侑「……殴れや。」
『……言われなくても殴ります。』
正座する侑さんに立ってもらい、腹を思いっきり殴る
侑「……ッ」
寸前で止める。その代わり、優しくぽすっと拳を入れる。
侑「っ、!なんやねん!思いっきり殴れや!!」
『殴らんです。』
侑「どうせ俺は退部じゃ!!バレーボール人生からもおさらばじゃ!!」
『はぁ……』
大きくため息をつくと「何をため息ついとんねん!」と大声で叫ぶ侑さん。
『別に、貴方を退部させたいわけじゃないですし。そもそも、侑さん何でさっき正座してたんですか?』
その場にいた人たちが頭にハテナを浮かばせる。
『侑さん知らんと思いますけど、ウチさっき殴られたんですよぉ、知らない女子生徒たちに!治さんたちが助けてくれなかったら死んでましたわぁ。』
角名「っふふふ、」
急に始まった茶番劇の意図を理解した角名さんが笑ってる。
めっちゃ恥ずかしいけど、仕方がない。
侑「は?何言うとんねん。そんなのさっき、見」
『いやー本当に!治さん来るまで誰も来なかったですし、危なかったなぁ!ここ最近付きまとってくる侑先輩は今日に限ってどっか行ってたし!』
侑「っ、なんやねん!同情なんかいらんわ!」
『同情やないですよ。』
でも、もし、
『もし、私に対して何か反省してるのなら、インターハイ優勝してきてください。』
そしたら許してあげますよ、と、ニコッと笑う。
つくづく、自分は甘いなと思ってしまった。
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作者名:七瀬七海 | 作成日時:2024年3月6日 23時