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治視点
あれ？Aがいない。
昼休み、また用事があってAの教室へ行くと、Aはいなかった。
トイレかな、とも思ったがAだけではなく、ここ最近付きまとっている自分の片割れもいないことに気がつく。
何か、嫌な予感がする。
1年生の他の教室を見るも、後輩に挨拶をされるだけでAは見当たらない。いつもの空き教室に行くと、角名と銀島しかいなかった。
銀島「なんや？そんなに焦って。」
治「Aが、おらん。」
角名「トイレじゃなくて？」
治「ツムもおらんのや。」
少しだけシンッと静かになる。
銀島「いやでも、さっき侑、1人で外出てたで？」
治「どこに行ったかわかるか？」
銀島「窓から見とったけど、どこやったっけ？」
角名「あっち方面だったから、校舎裏じゃない？」
窓を見ると、再び侑が戻ってくる様子が見えた。
銀島「あ、ほらおった。」
治「ッ！ちょっと2人とも着いて来てや！」
急に走った俺を見て驚く2人を置いて行く。
校舎裏、最近の侑の行動、Aが俺たちを避けていた理由
侑とすれ違ったが、完全に無視して走る。あいつは後で殴れば良い。
校舎裏に行くと、頬を赤くして、水浸しになって横たわるAがいた。
その場にいた女どもと何を話したかは覚えてへん。
後ろから追いついてきた角名と銀島に説明もせずAにかけよる。俺を見るなり、侑と勘違いしたのか、涙を流した。
『ごめ、んなさい、あつむ、さん。ごめんなさい。も、まねーじゃー、やめっ、ます……』
治「A！俺や、治や！！アホツムはおらん！」
『だかっ、ら、なぐら、ないで……』
怒りを抑えつけられず、目を瞑ったAを抱きしめる。
角名「え、侑、まさか殴ったの？」
銀島「さっきの女子らの話を聞く限りそれはなさそうやけど……」
治「そんなん、どうでもええやろ。」
あいつは俺が殴る。
そう宣言して、Aを保健室へと運んだ。
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作者名：七瀬七海
| 作成日時：2024年3月6日 23時
