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「Aって女いる?」
『はい?』
「あんたが……ちょっとこっち来て。」
見た事ない女子の先輩方に連れられて、人通りの少ない廊下へ歩いていく。少し薄暗くて、静かで、声がよく響く。
「あんた、舐めてんの?」
『ぅ、え?』
「バレー部に入ったマネージャーがいるって聞いたから、どんな美人が入ったのかと思ったけど……」
「こんな丸メガネのダサ女だったとはねぇ?」
「最近治くんと仲良さそうじゃん。男たぶらかして楽しい?」
壁へ壁へと詰め寄られる。
なるほど、と全部を理解した。この人たちはきっと、バレー部のマネージャーになりたかった人たちだ。そして侑さんとか治さんとかを狙う人たち。
「ねぇ?どうやって取り入ったの?」
「気持ち悪いんだよ、メガネのくせにぶりっ子してんな」
『あの、勘違いです……』
「は?何がだよ!?」
ドンッと、壁を蹴る先輩。
なんとかしてここから逃げなきゃと、思ってもないことが口からベラベラと出る。
『こ、こんな丸メガネのダサ女に、先輩たちが仲良くしてくれるわけないじゃないですか!そもそも、入部を許可してくれた3年生の先輩だって、きっと同情したんですよ!ウチがダサすぎるから可哀想だって!』
こんな女に振り向きもしないですよ〜と手を大袈裟に振る。
「……確かに、あんたみたいなの好きになるわけないか。」
『そうですよ!』
「でも、忠告だから。」
あんまり調子に乗るなよ、と告げて彼女たちは去っていった。
『な、なんとか耐えた』
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作者名:七瀬七海 | 作成日時:2024年3月6日 23時