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次の日、昨日のこともあったので侑さんからの待遇は少しはマシになるのではと期待して部活へ向かうも、その期待は打ち砕かれた。
『侑さん、お疲れ様です。』
侑「……」
『侑さん、これドリンクです。』
侑「……」
『ナイスキーです!』
侑「……」
見事にガン無視されてしまった。
でも事あるごとに突っかかって来られるよりはマシかな、なんて思いつつ、少しショックを受ける。
しょんぼりしつつ、業務をこなしていると、治さんから話しかけられた。
治「丸メガネお、んな……って、何でそんなに悲しそうなん。」
『侑さんに無視されます……』
治「あぁ、なるほどな。」
『昨日侑さん名前で呼んでくれたから、和解したかと思ったんですけど。』
治「……名前?」
『はい。』
確かにAって呼んでくれたのになぁ……とガッカリする。普段、お前とかあんたとか、丸メガネ女とか呼ばれてるこっちからしたら名前で呼ばれるだけでかなり嬉しいのに。
どうしたものかとため息をつく。
治「……A。」
『っ、え?』
治さんの方を向くと、そっぽを向いている。
『い、今、今!名前で呼びました!?』
治「空耳やない?」
『嘘!絶対嘘!もっかい言ってください!』
そそくさと逃げていく治さんを追いかける。気のせいだろうか、治さんの耳がほんのり赤くなっていたような気がした。
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作者名:七瀬七海 | 作成日時:2024年3月6日 23時