3.3 ページ16
アラン「侑、強く言いすぎや。でも俺もこっちから見たら入ってるように見えたんだけど、入ってなかったんか?」
アランさんが優しくもう一度聞き直してくれた。
咥えていた笛を口から出して、会話する。
『回転して、入りそうだったんですけど線の外側でした。惜しかったです。』
アラン「そうなんか。ありがとうな。」
侑「んなわけあるか!!お前、あれだろ。俺がいつも追い出そうとしてるから嫌がらせしとるんやろ。」
『……そんなことしないですよ。』
流石に言いがかりが酷すぎるので反論する。自分だって真面目にバレーボールに向き合ってるのに、私情でジャッチを捏造する奴だと言われたら誰だって怒るだろう。
侑「信じられんわ!さっきのブロックアウトもそうやし!」
『でもあれは爪先が触れてました。』
侑「なんや、じゃああれか?俺の指先に感覚がないとでも言いよるんか?」
『そうは言ってないです。』
侑さんと言い合う。良くないのはわかってる。でも流石にこっちだって怒る。侑さんに女子関連でトラウマがあったのは同情するけど、そのせいでこちらの全部を否定されたらこちらだって傷つく。
侑「お前、審判台から降りてこいよ。話してるのに何見下しとんねん、この丸メガネが。」
周りの人からやめろと止められるが、お構いなしにこちらを睨む侑さん。
『いやですよ!』
侑「なんでやねん!降りてこいやぁ!」
『侑さんに喧嘩で勝てるわけないじゃないですか!』
体格差的に圧倒的不利だ!と付け加えて審判台にしがみつく。
正直言い返したは良いもののバチバチにビビっている。この人、絶対容赦なく殴ってくる、と本能が言っている。
治「ふははっ!せやなぁ、絶対負けるもんなぁ!降りてこないほうええで!」
侑「あ??何笑ってんねんサム!」
『誰かこの猛獣を止めてください!ウチ殺されてまう!』
侑「誰が猛獣じゃあ!!降りてこんかい!」
怒りに狂った侑さんが審判台に掴みかかる。と同時にバランスを崩す。まって、この高さから落ちたら、本当にやばい。
目を瞑るが、審判台のグラつきはすぐ治った。目を開けると、北さんが支えてくれたらしい。
北「侑、いい加減にし」
そして、北さんは静かに怒った。
377人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:七瀬七海 | 作成日時:2024年3月6日 23時