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赤葦視点
高校に入ってから、後輩が初めてできた。
その中でも、MBの尾長とWSのAは一緒に試合に出るほどの実力だった。
噂には聞いていた。
元プロの選手である、志麻の息子がいると。
Aはレシーブ力が高く、サーブやスパイクは独特な曲線を描くフォームだった。
パワーが足りないと悩んでいたが、一年生にしては十分な実力で、それを評価され、ユニフォームをもらった。
同級生はあまりいい顔をしなかった。
特に控えメンバーである3年生は、納得すらしていなかった。
「親の七光りだろ」
「志麻って言ったら、あの、ドーピング疑惑の……」
「俺ら3年生は最後なのに」
「変化球のシマから直接教えてもらってるのなら、ずるいよなぁ」
赤葦「……」
彼らは何も知らないから、そう言えるのだ。
木葉さんや鷲尾さんなどの3年生はもうとっくに気づいていた。Aが朝から晩まで父親に管理されていて、休む暇もなくバレーボールをしていることを。
だから俺たちだけでも、楽しませたかった。
バレーボールを
A一緒に試合をしたのは数えられるほどしかなかった。
最後の試合で、Aは一度も笑わなかった。
木兎「A！今のサーブめっちゃ良かったぞ！！めっちゃ曲がった！ぎゅんって！！」
『……ありがとうございます。』
体調が悪そうには見えたが、それでもいつもAはバレーボールをしていたから、
油断していた。
いつもより隈が酷く
心なしか飛び方の重心が偏っていて
段々と青白くなっていく顔色
俺は、俺らはずっと忘れないだろう。
左膝を庇うようにしゃがんだAを
押さえても止まらずコート上にぽたりと落ちた鼻血を
俺らはずっと恨むだろう。
Aを守りきれなかった自分たちを
観客席からこちらを睨むAの父親を
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作者名：ましあ
| 作成日時：2024年2月29日 19時
