もう2度と、バレーボールはやらないと【HQ】 (ページ24)

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月島視点

時計の針が11を指す。

明日も朝練あるし、そろそろ寝るか、と電気を消そうとすると、とうに寝たはずのAの様子がおかしかった。

月島「……ちょっと、大丈夫？」

声をかけても反応しない。

過呼吸気味になってる？

月島「母さん！ちょっと水持ってきて！」

別に心配して、とかではない。

ただ面倒ごとになるのが嫌なだけ、

そう自分に言い聞かせる。

名前を何度か呼ぶと、やっと目を開けた。

しかし、震えは止まらず、体を縮こませてる。

まるで何かから自分を守るように

『ぁ、いつ、あいつが、来る……』

あいつって、さっきの父親のこと？

確か、志麻隆弘っていう、元バレーボール選手……

月島「、来るわけないでしょ。とりあえず、起きれる？水飲んで落ち着いて。」

『ごめん、なさい。ごめん……もう、飛べないッ』

月島「……？」

『もう、ばれーぼーるは、できない。できないっ！だから…なぐら、ない、で……』

月島「は？殴らないでって、どういうこと？」

『……』

そのまま、またゆっくりと目を閉じた。

殴らないで……って、まさか……

服を少し捲ると、治りかけの痛々しい痣が至る所にあった。

月島「……何、これ」

いや、考えなくてもわかる。

虐待だ。

“俺はバレーボールは好きじゃないからね。だからもうやるつもりはないんだよ。”

月島「……僕だって、好きじゃないよ。みんな馬鹿みたいだよな。」

涙で濡れたAの頰をそっと撫でた。