帰還 ページ40
『帰るのがこんなに大変だったとは驚きだ！！』
『口は良いから走りなさい！鶴丸』
『振り替えるな。前進あるのみだ…彼方で皆が待っている』
『所で君は何故地獄に落ちたんだ？』
『ふん！！あの女をちょっと呪ってやったのよ』
『おい』
道中に出会った娘と迎えに来た三日月と共に鶴丸は灼熱の獣道をひたすら走ったいた
『…落ちたのはそれだけではなかろう』
『………』
三日月の言葉が娘の表情を曇らせる
『もう過ぎたことよ』
娘は何者か、語ることはなかった
『さぁ！！いきなさい！！』
だがしかし、娘が何者かを悟るには充分過ぎる研ぎ澄まされていた才能を彼らは見た
『刮目するがいいわ。そしてひれ伏せ』
これ程の術者を彼らは久方ぶりに目の当たりにしたのだ
『ちゃんと守ってあげてね』
一瞬の闇に包まれ、目覚めれば其処は本丸だった
最後に聞いた言葉はとても優しい声色をしていて哀しみを孕んでいた様に思える
(…生前は審神者だったのだろうか、やけに詳しかったが)
時の政府のやることすべてを把握しているわけではなく、彼らもまた作られた者
時の政府の腹の底は検討もつかない
「…つる？かえった？」
「あぁ。遅くなってごめんな。いいこにしてたかい？」
「…つるいない、Aいっぱいないちゃったの」
「そうか」
「づるおいでいがないでぇよぉ…っ」
もっと早く帰るつもりだった、のに寂しい思いをさせてしまった
「もう、置いていかないさ」
自分の思慮の浅はかさに沸々と苛立ちが沸き立つ
「今日からずっーと一緒だぜ？」
「ずっーっと？ぎゅーってしてくれる？」
「お望みとあらば、な」
残された時間は少ないと言うのに
『あの女、Aを殺したのよ』
やらねば行けないことは沢山残っている
『子供が可愛いなら風呂場なんて掃除させない。ましてや自分が居ないときに』
この小さな主を守れるのだろうか
『覚えていて。事故じゃないってことを』
いや、守らねば
この身が朽ち果てようとも
(君は覚えているか？俺を拾った時のことを)
鶴丸国永にとって唯一の主はAだ
(親は一世、夫婦は二世、主従三世…と言うだろう？)
それだけが理由
(理由なんてそれで充分だ)
所詮、武士が扱う刀だということだと鶴丸はその日痛感したのである
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夢ぽてと(プロフ) - 清藤〇さん» コメントありがとうございます！亀更新ですが、頑張ります！ (2019年11月3日 15時) (
レス) id: dc72360ccd (このIDを非表示/違反報告)
清藤〇(プロフ) - 定期的に読み返すほど好きな作品です...久しぶりに更新されていて歓喜でした。体調にお気をつけてこれからも更新待ってます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 71409fbe97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢ぽてと | 作成日時：2018年11月8日 15時
