黒本丸を引き継いだ審神者ちゃん ページ36
本当に此処は黒本丸だったのだろうか
(…ふーしぎふしぎ)
人間不信に墜ちたと、送り込んだ審神者は帰ってこなかったと政府の人に言われて構えて来たのに、来てみれば拍子抜けした
「あ、主さん」
「乱！何してるの？」
「うーんとねぇ。遺品整理…っていうのかな」
「遺品…あ、Aちゃん？」
春には桜が咲いて、錦鯉が優雅に泳ぐ
夏には良くみずみずしい野菜が実る
そうそうこの本丸にはドングリの森がある
なんだか見覚えのある森なんだけどこれがすごくわくわくするの
「ボクらがね、Aを可愛くするんだ」
全部、Aちゃんが育てたらしい
私が就任する前に居なくなったから丁度一年くらい経っているのに
「ずっーとボロいブカブカ服を着てたのに全然気づかないくって」
彼らの中にはAちゃんが息づいているようだ
「加州さんと可愛くしてあげるとすっごく喜んで自慢しに行くんだよ？」
「それで一杯服があるんだね。写真とかないの？見てみたいなーなんて…」
「あ、それなら…」
(あるんだ…)
本丸の一室には彼女が居た証がある
「一兄たちが確かたくさん撮ってたはずなんだけど…」
「なんだろう。ちょー目に浮かぶなぁ」
「ホント？あのときはねぇ…」
とても楽しそうに話すの
人間不信なんて嘘だと思っちゃうくらい
『此処って本当に黒本丸だったの？』
不躾に尋ねてしまったこともある
『世間的に言えば、そうかもしれませんが』
『？』
『……僕達が単に甘えてたんですよ。人間に期待ばかりして、ね』
四歳の女の子がこうも彼らを変えてしまったと思うとつい、尊敬してしまう
自分に出来ただろうかと考えるだけで胃がキリキリする
「あった！！」
「え、どこ！？」
「これぜーんぶ！！」
「でか！そして多くないっ！？」
だけど、愛されなかった彼らが愛した女の子がちょっと羨ましい
私が与えるものより遥かに尊いものをAちゃんは残していった
「みんな張りきっちゃってまだあるばむに貼れてないんだー」
「溺愛しすぎでは…？いや、わかる！！」
嫉妬するどころか、感謝、感謝でしかない
「か、わ、かわいいいっ！！これまんばちゃんのまねでしょ！？」
「でしょ！？覚えるとすぐ真似したがるの！歌仙さんのもあるよ！ていうか、みんなのあるっ」
「見せて見せて」
Aちゃんのお陰で私はこうして審神者に成れているんだから
(会ってみたかったなぁ…)
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夢ぽてと(プロフ) - 清藤〇さん» コメントありがとうございます！亀更新ですが、頑張ります！ (2019年11月3日 15時) (
レス) id: dc72360ccd (このIDを非表示/違反報告)
清藤〇(プロフ) - 定期的に読み返すほど好きな作品です...久しぶりに更新されていて歓喜でした。体調にお気をつけてこれからも更新待ってます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 71409fbe97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢ぽてと | 作成日時：2018年11月8日 15時
