愛するか否か ページ32
「こぎつねまる」
小さなぬしさまはその名を呼んで下さらない
「こぎつねまる」
いつかは呼んでくれるのではと耳元で囁く
けれど最早夢のまた夢か
日に日に霊力の衰えが著しいのだ
「ぬしさまが人間ならば良かった」
成す術は残されていない
隠すことも生かすことも出来ない神の末端
『我が身さえ守れない幼子に一体何が出来るというのだ！！』
『何がというなら、既に答えは出ているさ』
『何？』
『この本丸の穢れを祓ったのはあの幼子だろう』
『ふざけるな！もう、２度と人の子など…っ』
あれは温もりなどなかった
冷たく、狡猾で人の皮をを被った鬼のようだった
最後まで愛してくださらなかった
「せめて人の温もりになるよう暖めましょう」
死んだ魂の身体は死人のように冷たい
まるで忘れるなと言うようにヒヤリとする
『きちゅねさま！ちょんちょん！！』
愛に餓えた獣には眩しすぎる笑顔だった
『A、これすきぃいぃ……っ！』
ぬしさまは私の毛並みを好きだとおっしゃる
みっちゃんがくれたわたあめのようだと、抱き付いて離れない
そして、この毛並みに埋もれて昼寝をすることもあった
「最期の時までぬしさまが人の子であるために」
この幼子に何が出来ようか
何も出来まい
「小狐が御守り致します」
例え出来たとしても力で捩じ伏せられるだろう
ああ、神の遊びと思えば辛くはない
こうして腕に隠してしまうことでさえ楽しいものだ
(明日は目覚めるだろうか)
別れなど怖くなどない
(一層一つになれたら、共に居られる)
私が愛して、捨てればいいのだ
(だが、それは赦されぬ)
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夢ぽてと(プロフ) - 清藤〇さん» コメントありがとうございます！亀更新ですが、頑張ります！ (2019年11月3日 15時) (
レス) id: dc72360ccd (このIDを非表示/違反報告)
清藤〇(プロフ) - 定期的に読み返すほど好きな作品です...久しぶりに更新されていて歓喜でした。体調にお気をつけてこれからも更新待ってます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 71409fbe97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢ぽてと | 作成日時：2018年11月8日 15時
