サクラスタンプ ページ11
《こんのすけ》を模した獣神は渋る様子はなく、寧ろ快く頷いた
Aは新しいソフトクリームに釘付けで大人しく椅子に座っている
「深い意味などはなく、心からの《徳》が大事だっただけなのです」
自分に向けられる視線に気づく事もなくソフトクリームを堪能していた
「何処から語りましょうか…折角ですからわたくしのことから」
こんのすけは一瞥した後、眼を瞑り語り始めた
「皆様は神となる上で必要な条件をご存知ですか？」
「条件？僕達と何か変わるのかい？」
「少々、異なりますかね。この世に産み落とされる切っ掛けとなる条件は」
「…想い？」
積み重なる人の想いから生まれる付喪神と人の崇拝から生まれる獣神
僅かにだが違いはある
「敢えて言うならばわたくしはA様の無性の愛から神へと昇格致しました」
過去に積み重ねられた想いは幾重に重なろうと消えることはなく、歴史を語られる上で何処かで紡がれるものだ
「無性とは自らの徳を顧みない或いは下心のない清らかな想い…幼子は裏表がない故に影響は大きいものです」
だから神様と人間は斬っても切りきれない繋がりがある
『いたいいたいねぇ』
狐は小さな少女に命を救われ、清らかな愛情より獣神と昇格し
『ばっちゃん！！いたいの』
恩返しのために《憑いた》
『きちゅねさん…えらいねぇ』
生前、知らぬところでAは狐憑きだったと言うことだ
「なのに、わたくしは恩を返すことが出来なかった」
燭台切にも鳴狐にも相応にしてある
ずっと蓋をして知らない振りをして諦めていただけで
情は人にも神もある
『ままのおてつだいするっ』
『出来るの？中途半端はだめよ？』
『できる！千恵、お姉ちゃんになるもん』
『ふふっじゃお願いしようかしら』
血が沸々と騒ぐ感覚に彼らは自らの手を握りしめて開いた
『千恵は良い子ね。ままうれしいわ』
そして胸に手を当てて首を傾げる
『いいなぁ…Aもよしよし、ほしい』
まだ、名もない感情に戸惑った
恐らく忘れてしまった感情だろう
「こんなに悔しいことはございません」
こんのすけの大きな瞳から零れ落ちる涙を見ていられなくてもどかしさを覚えた
「くりぃむ、おいしっ」
あんなに憎らしかったのに、と思う事になろうとは思いもしなかった
「OK。分かったよ」
「こんのすけ殿、お任せください。鳴狐と共にお役に立てるよう精進いたしまするっ」
「まかせて」
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夢ぽてと(プロフ) - 清藤〇さん» コメントありがとうございます！亀更新ですが、頑張ります！ (2019年11月3日 15時) (
レス) id: dc72360ccd (このIDを非表示/違反報告)
清藤〇(プロフ) - 定期的に読み返すほど好きな作品です...久しぶりに更新されていて歓喜でした。体調にお気をつけてこれからも更新待ってます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 71409fbe97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢ぽてと | 作成日時：2018年11月8日 15時
