黒本丸を引き継ぐ新人 ページ1
最早再起不能と言われた黒本丸に春が来た
前任の審神者に手を下して以降、桜は咲かなかった
「ささ！皆さんお待ちかねですよ！審神者様」
「う、うん…ほんっとうに大丈夫なんだよね？」
枯れた池には澄んだ水が汲まれ、斑の鯉達が優雅に泳いでいる
「えぇ！もちろんですともっ」
煤だらけでギシギシと鳴いていた本丸は新築のように新しい
「うわ…聞いてたのと違う…」
黒本丸を引き継ぐ事になった新人審神者は事前に聞いていた現状と想像があまりにも異なり
感嘆の声を溢した
「でしょう！？このこんのすけ、嘘はつきませんよっ」
彼女の方に乗っているこんのすけが嬉しそうに目を輝かせている
なぜ、どや顔なんだ？と聞きたいところだがそれどころではない
「やぁ、新しい主かい？」
「えぇ！？あ、はいぃい」
「ははっ、元気があっていいね」
キョロキョロと玄関を見回していたら丁度前を誰かが横切って
しかも、気さくに話しかけて来た
「でも、女性ならもう少し淑やかに。その方が雅だ」
彼は確か《歌仙兼定》
風流をこよなく愛し、雅さを追求する刀剣男子
菖蒲のような髪色が印象的
(後、おかん若しくは姑と言われてるらしい…)
だったと新人審神者は記憶している
「皆、君が来るのを心待にしていたんだ」
「?」
黒本丸には似つかわしくない歓迎に彼女は拍子抜け
不思議そうにこんのすけを見るとどうだと言わんばかりに笑顔を見せた
「「「ようこそ、我が本丸へ！！」」」
人間不信に陥った刀剣男子は憎しみ怨みに取り憑かれて更正が困難である
そして信頼関係を築けず行方不明となるケースも少なくない、と政府に嫌と言うほど聞かされていた
(あれは脅しだった、とか？)
その時の彼女は政府の脅しだったのだと新人故に信じたのだが後に、審神者会議に参加した時にそれは珍しいケースなのだと知る
「ねぇねぇ、加州」
「なぁに？主」
何事もなく一周年過ぎたある日
気になって口を滑らせた
「加州達はどうして私を受け入れてくれたの？」
「え、なぁに急に」
「初めて会議でね、珍しいって言われてね。黒本丸だったのにって…」
「あぁ…そーいうことね」
気まずくなるかと覚悟した彼女
苦笑した加州清光を見て聞かなければよかったと思う
「実は主が就任する前に来たんだよ。もう一人」
だって余計、彼女の謎が深まったのだから
「審神者じゃないけど、こんなに小さくて強くて可愛い女の子がね」
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夢ぽてと(プロフ) - 清藤〇さん» コメントありがとうございます！亀更新ですが、頑張ります！ (2019年11月3日 15時) (
レス) id: dc72360ccd (このIDを非表示/違反報告)
清藤〇(プロフ) - 定期的に読み返すほど好きな作品です...久しぶりに更新されていて歓喜でした。体調にお気をつけてこれからも更新待ってます！ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 71409fbe97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢ぽてと | 作成日時：2018年11月8日 15時
