【刀剣乱舞】旅立つ前に

おっきいまんばとちっさいまんば ページ26

「きれいとかいうなー」

「わぁそっくりですね」


「えっへん」


両手を目一杯広げてやって来た小さな主は彼の笑顔の拍手にご満悦のご様子だった

川へ遊びに行ったところに堀川国広と出会ったA


『なにしてるのー？』


無視しようか、考える間もなく見よう見まねで冷たい川に着物を投げ入ればしゃばしゃし始めた


『きれいなる？』


好奇心に溢れた目に負けた堀川国広は違うと優しく叱咤する

一から全部教え終わる頃には二人とも泡だらけ


『のさだおこられちゃうねぇ』


クスクスと笑ってしまった

それからはたまに迷子の延長線で部屋に迷い混んで来るのだ

本人曰く、ほりーが居るような気配を辿っているとか


「まんば、まんば！そっくりって」


「何がそんなに楽しいんだ」


「ひひひっ」


「そういうお年頃なんじゃないかな？」

「理解不能だ」


「きょうはまんばとねるの！！」


何がきっかけなのか定かではないが山姥切国広がお気に召した様

いや、真似したい衝動に駆られたのか

多分覚えやすかったんだろうと堀川は考えている


「まんばは隣ね！」


「僕は仲間外れ？」


「ほりぃは隣ね！」


「要はお前が真ん中ってことだろ？」


「………ん！！」


なんだか山姥切もしっかり相槌を打っているのでAは楽しいんだろう


(兄弟は不器用だからなぁ…)


今は良好な関係を築けている方だ


「まって、まんば」


「…やっといてなんだが、走ると転ぶぞ？取ってもいいんだぞ？」


「や！！」


「俺の真似なんかしても面白くないだろう」


刷り込みされたひよこを見ている気分と言っておこうか


「ほりぃ？まんばどこー？」


「兄弟は今、お仕事してるから部屋で待ってましょうね」


「まんば！おしおと、すぐおわる？」


「もちろん！僕とあやとりしていたら直ぐですよ」

「あやとりやる。A、がんばる」


「じゃー何からしましょうかねぇ」


満更でもない兄弟を見るのは悪くない


(ずーっと此処に居れば良いのに)


きっと賑やかになって、毎日が戦争なんだろうね、と


「帰った」


「まんばー！」

「お前も飽きないな…広間に行こう。兄弟」


「そうだね。そろそろ夕餉の時間だね」


「あぁ。後は俺たちだけだ」


そう考えるだけで心が綻ぶ


「まんば、まんばまって…っ」


ちよちよと後ろをついてくる姿を焼き付けて彼らはクスリと笑った


「かわいいよね」


「…何の事だ」


「またまたー」

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