【ハイキュー】秘密と花園【短編集】 (ページ10)

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Aside

「そうやって自分の想いを隠してても、誰も報われないし誰ひとり気が付かない。……いいよなあ、そこで抑えられるお前は。」

ぐっ、とより強く抱き締められた。

顔は見れないけれど

その声には強い怒りが滲んでいた。

「こちとらそのまま抑えてられない。だから…教師と生徒でも何でも関係なかったし、Aを手に入れられるように裏で散々手を回してたんだよ。」

なのに…

そこまで言うと、白布先生は急に力を抜いて、優しく私の肩を撫でる。

私は

その発言が耳から離れなかった。

まるで、白布先生が私の事が好きで、その為に仕組んだみたいな…

「…何で、俺を見ないんだよ。」

耳元で囁いたその言葉が、熱く思考を溶かしてゆく。

切なくて、どうしようもなく苦しいその声を、私はよく知っていたから。

「好きだ。好きだよ。離したくないんだよ。…だから、こうした。こうするしかなかった。」

私は

白布先生が何でこんなことするのか、よくわかった。わかってしまった。

でも

「私の事が好き」だなんていまいち実感が沸かなかったし

今更、キスもハグもした後に「好きだ」なんて実感が沸かないのも仕方ないし、そもそも私は潔子が…

「…あの、でも私は…」

「知ってんだよ。俺を見てないってことも、全部知ってる。無理矢理繋ぎ止めて、ごめん。」

「…先生。」

「……でもお前、清水に知られたくないんだろ？」

先生は私を離して、ごめん、と言った。

それが、少し不穏で「あの、」というと先生に遮られた。

「やっぱ、清水には何処かに転校してもらおうか。それが1番いいだろ？それで連絡手段も断って…」

そう言い切った先生は、いや先生こそ私のことなんて見ているのかわからない。

本能が

直感が

危険と告げていたのに

動けなかった。

先生は、目的のためなら手段を選ばない。

誰かを傷つけても、誰かを苦しめる事になっても恐れないし躊躇わない。

逃げてもきっとそれは無駄で

まるで

暗闇の中に落ちていくような気分だ

このまま

どこまでも

共に、落ちていく

この時間が罪ならば、足掻く間もなくただ祈ることも、罪なんだろうか。

　

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