Rollin'

〈40〉 ページ40

side BLACK


舞台袖で聞こえる幕の上がるあの合図。




千秋楽だ。最高の日にしてやる。

そう思ってたのに。






｢お疲れ様でしたー！！！｣


途中の記憶はあやふやだ。


あの｢カット！｣という監督の声のように。



ガクン、と前に倒れる。
間一髪、膝に手をついて、座り込んだり、床に叩きつけられることは無かったけど。



｢ﾊｧﾊｧ…はぁっ、はぁ、んっ、ﾊｯ｣



｢っ、北斗！びっくりした、大丈夫？｣

隣に立っていた阿部ちゃんに声をかけられる。


なにか答えなくちゃって思うのに、頭が真っ白。




｢ごめん。阿部ちゃん、ありがとう。
北斗、よく頑張った。楽屋戻ろ、歩ける？｣

俺の代わりに答えてくれたこーちに腕を回して、肩を組んで歩く。


けど、カラダが震えて、あんなにスポットライトは熱かったのに。

｢ごめ、げんか…｣

息苦しさと冷や汗が全ての言動と思考回路を停止させる。




｢まって、蕁麻疹じゃない？すぐ病院行こ！！
俺ソッコーで着替えてくるから！
慎太郎、こーち手伝ってやって！｣

いつから隣にいたのか分からないけど、樹が走って楽屋の方向へ向かう。


｢……！！？｣

ビクン！とカラダが跳ねた。
スタッフさんが用意してくれたのか、氷が首に当てられる。



｢っ、むり…ごめ、さむい｣

思わずそのまましゃがんじゃって、高地も慎太郎もバランスを崩す。



｢熱でも出るんじゃない？｣

慎太郎がおでこに手を当ててくる。
そのまま俺は慎太郎に全体重をかけたまま、動けない。




｢何か今日、特別変わったことしてない？
いつもの感じと違うでしょ。ちょっと異常だよ｣

もう目は開けれないんだけど、京本の言葉に働かない頭をフル回転。


凄いな。俺と思ってること一緒じゃん。
俺も異常だと思う。うん、ファンの子、俺の頭覗いたら、きょもほくー！って喜ぶと思う。




て、そんな場合じゃないって。


｢はぁっ、くす、り、……っ、んっ、｣


やべ、マジで俺。死ぬかも。




_________________________________________



ぴーんち。な時に申し訳ございません。
作者です。


※注意
次の回、嘔吐シーンを含みますので、苦手な方は自衛を。



そんなに激しい描写ではないですが。念の為。

〈41〉※→←〈39〉

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す