彼奴は今日も笑ってる【中原中也】 (ページ4)

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野菊が三つページ4

それから伊藤は凄い速さで良い功績を取り、半年後には上級構成員になり、マフィアの主な戦力となった。

そんなある日、伊藤は俺に報告書を届けに来てくれた。

「中也君！森さんからお手紙だよ！！」

「…報告書な」

またニッコリと笑う。

此奴は笑う事しか出来ないのか？

「なぁ、お前怒ってみろよ」

「？理由も何も無いのに怒れないよ、私」

キョトン、そしてまた笑った。その笑みでマフィアには救われた人間が一杯居るそうだ。

「…否、お前笑った顔しか見ねぇから」

「そうかな？」

「…如何して笑うんだ？」

「笑っていれば、皆笑顔になるから！」

また、眩しい笑顔で言った。

本当にマフィアには向いていないな、此奴。

「仕事は慣れたか？」

「ううん…人を殺すのは一寸気が引けるよ。
皆は慣れてて凄いと思う！私！皆をお手本にするよ！！」

ガッツポーズをしながらまた笑う。

「…お前さ、マフィアから出ていけば？」

「…」

深刻そうに今度は笑った。

「お前みたいな奴、マフィアには向いてねえよ！
お前は、光の人間だ。」

汚れてはいけない筈の人間なんだ、此奴は。

「また、そんな事言う…
中也君は、スパルタだね。そんな事言うの、君だけだよ。」

「笑うくらいなら、マフィアから出てけよ。」

「え…」

その言葉で今度は何の笑みも無かった、ただの吃驚した様な顔。

「……中也君は、私が嫌い？」

無理に伊藤は笑顔を作った。無理矢理すぎて何時もより眩しくない。

「否、俺は唯お前を」

「また、そう言う。
もう、嫌だなぁ、私、嫌われてるみたい…！」

「否、だから！」

俺はお前を嫌いダなんて思ってない！

好きって思っているんだ！

「…………そうだ！私、姐さんに呼ばれてるんだ！
またね！あ、その報告書、来週が提出日だからね！忘れちゃ駄目だよ！！」

急ぎ足で伊藤は俺の居る部屋から出て行った。

「違うんだよ、
俺、何が言いたいんだ」

～～～～～～～～

「うぅ…私がマフィアに向いてないって、
一番分かってるよ…！如何してあんな事言うんだろう」