彼奴は今日も笑ってる【中原中也】 (ページ16)

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野菊が十五個ページ16

伊藤side

「何がやりたいんです？」

標的はニコリと微笑み、私の手を取った

「君が僕の妻になれば、マフィアの情報も手に入るし、組合っていう組織があってね、そのボスは娘を生き返らせることが夢らしいんだ」

「私の異能…！」

「そう、それに君は可愛いし、良い異能者、そしてこの体だから高値でつく
マフィア幹部補佐の奴隷なんて、世界中の誰もが欲しがるんじゃない？」

「貴方は最低だ…！」

「君も最低だ
人を恨んだ死人を蘇らせ、そして恨み晴らしに殺させる、
君の手は真っ白なまま、エグイ殺し方だよね

そんな君は、一生をもってその罪を償いなよ
ああ、マフィアは絶対に助けられないだろうね
だって、これは君個人の問題だし」

「……！」

確かに私は罪人だ

その罪を一生をもって償う覚悟は何時もある

「大丈夫ですよ…
私はその覚悟は出来てますし、それに」

「それに？」

「…………」

中原さんに会わなくて済む

無理して笑わないで済む

「式まではあと二日もある
そのうちに自由な時間を過ごしなよ
ま、此処からは出られないけど」

「……それも良いですね」

「？」

「皆を心配させたくないから」

これじゃ、元気になれないな

これじゃ、笑えないからな