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ラウがそう言っているうちにも、どんどん痛みは強くなっていって。
「っぐ、ぁ、いた...っ」
「痛いね、そうだよね...ごめん......」
「だいじょうぶ、だから」
「そんなに長くはかからないと思う。俺は全身まるごといったから時間かかったけど、Aは今は目だけの変化だと思うから」
そっか、ラウもこの痛みをわたしよりもずっと長い時間、経験したんだ。
契約済みの悪魔になってでも、わたしに会いにくるために。
そう思えばこの痛みすらも必要なものだと思えてくる。
「ラウ、」
「...なに？」
「ありがとう、がんばったね」
「......うん」
ラウの手が背中をゆっくり撫でてくれて、だんだん痛みが和らいでくる。
「終わりそう？」
「う、ん、いたくなくなってきた、かも」
やがて、今までずっと黒で塗り潰されていた世界が少し明るくなりはじめた。
(これが、光......？)
「A、目開けてみな」
ワクワクしたようなラウの声に誘われて、一度も動かしたことのなかったまぶたを持ち上げる。
「......！！！」
初めて見た、天使の世界。
真っ白で、輝いていて、光に溢れてる世界。
だけどそんなものよりずっと綺麗なものが、わたしの目にうつる。
「...初めまして、だね」
「うん......！」
初めて見たラウの顔、姿かたち。
くっきり通った鼻筋に、黒い瞳を彩る長い睫毛。
わたしが着ている服とは全然違うデザインの服を纏う肌は、一部が繊細な模様で彩られていてまるでひとつの作品みたい。
真っ白な街に佇む、漆黒の美。
無駄なものを全てそぎ落として作られたような世界一の美しさが、そこにあった。
「ラウ、きれい」
「ありがとう。Aの声もめちゃくちゃかわいいよ」
ラウの言う通り、昔とはなにもかも変わってしまったのかもしれない。
でもわたしにとっては、今のこの姿のラウが正真正銘、大好きなわたしの双子の兄のラウールなのだ。
大きな手がわたしの手をぎゅっと握って、その綺麗な瞳に見つめられる。
「もう絶対離したりしないから、A」
「わたしも二度と離れないよ、ラウ」
わたしたちは、ふたりでひとり。
これでずっと、一緒だね。
こうして今日も天界からひとり、天使が消えていった。
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灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
