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けれど、そんな日常が崩れ去るのは一瞬だった。
あの大冒険以来、ふたりで遠くに行くのは禁止！と言われてしまい、わたしたちはいつも近所の公園で遊んでいた。
遊ぶって言っても、ふたりでできることなんて限られてるからベンチに座ってお喋りに興じるだけだったんだけれど。
面白いことが足りてなくて、好奇心旺盛ざかりのラウは「あるもの」にすっかり虜になってしまったのだった。
「ねえA、なんか向こうに凄いの見える！」
「ええ、どういうこと？遠くの方？わたしにはまだ何も聞こえてこないや」
「んーとね、結構遠く。でもなんか、黒い服着てて、っていうか全身黒なんだけど、めちゃくちゃかっこいいの」
「全身黒？肌も？」
「そう。人間界にいるカブトムシみたいな黒さ」
「んーー...面白いたとえだね？」
「あ、こっち見た！ねえねえお兄さん！」
「ちょっとラウ、」
わたしにはまだ存在が確認できてない何者かに声をかけるラウを引き止めるけれど、止まってくれる様子はない。
やがて公園の砂利を踏みしめる足音が聞こえてきて、「それ」はわたしたちの目の前で止まった。
「お兄さん、こんにちは」
「......」
「僕ね、耳が聞こえないから、スマホ使ってしか喋れないんだけど」
「......」
返答がない。
目の前にいるはずなのに、何も喋っていない。
その気味悪さに悪寒が走り、隣にいるラウに呼びかける。
「ラウ、帰ろ」
「......」
「ねえ、ラウ！！」
肩を強く叩きながらスマホを突き出しても反応がない。
どんどん恐怖感が強まっていって、無理矢理帰らないとと手を伸ばした瞬間。
「A、逃げて！」
「縺雁燕縺ｮ迚?牡繧後?雋ｰ縺｣縺」
「ひっ......？！」
なにか、聞いてはいけないものを、聞いてしまったような。
「ラウ、ラウ？どこ？.........ラウ？」
手探りで立ち上がって、ラウの名前を呼ぶ。何度も、何度も。
けど返事はなくて。
数年後、ラウは天界に忍び込んだ契約済みの悪魔にさらわれたことを理解した。
それから、ずっとラウのことを探している。
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灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
